東京都交通局は6月15日、プレスリリースにて2018年7月に臨時列車を運転すると公表した( 都営交通は今年も時差Bizを推進します。 )。また東京メトロは6月21日、プレスリリースにて2018年7月に臨時列車を運転すると公表した( 快適通勤ムーブメント「時差Biz」に合わせ快適通勤を推進する取組みを実施いたします )。さらに東急電鉄は6月21日、プレスリリースにて2018年7月に臨時列車を運転すると公表した( 東京都の快適通勤ムーブメント「時差Biz」に連動し、田園都市線・東横線で朝6時台の臨時列車を運転、「グッチョイクーポン」第5弾を配信 )。今回はこれらについて見ていく。
2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
1. 首都圏で平日朝に増発へ
今回の2018年7月東急電鉄・東京メトロ・東京都交通局臨時列車運転では、東京都の時差Biz政策により平日朝に臨時列車を運転することとなった。
今年の日程は7月9日~20日の平日実施で日数は前年と変わらないものの、増発及び延長運転本数が前年の5本から8本に拡大することとなった。また東京都では2018年度は時差Bizを冬季にも拡大し、2019年1月下旬から2週間程度を集中取り組み期間として実施する予定となっている。
2. 田園都市線特急の復活
今回の2018年7月東急電鉄臨時列車運転では、前年7月の臨時列車運転に引き続き、時差Bizライナーとして田園都市線で臨時特急が設定されることとなった。
運行区間は前年同様中央林間発押上行きで、途中停車駅は長津田、あざみ野、溝の口、渋谷から地下鉄半蔵門線内各駅と昨年と変わりなく、田園都市線都内全駅通過状態のままである。各駅停車を抜かす駅も、長津田、江田、梶が谷、桜新町と昨年同様特急に接続しにくい不親切接続となっている。
ただダイヤについて見ていくと、中央林間6時04分発から6時01分発に3分繰り上がり、渋谷到着は6時43分のまま変わりはない。つまり、所要時間が3分延長されたことになる。また長津田発時刻は6時14分から6時09分に5分も繰り上がった。もはや鈍足化以外の何物でもない。なお、あざみ野発時刻は6時21分から6時18分へ3分繰り上がり、溝の口発時刻は6時29分発から6時28分発へ1分繰り上がる。
前年のネックであった中央林間〜長津田間で列車が詰まったことで遅くなっていたものを2分縮めたのはいいが、前年ですら昼間の急行より遅かったにもかかわらずさらに遅くなるとは何事か。この理由は、2018年3月30日ダイヤ改正で平日朝7時台着の急行が増発され運転間隔が縮まったものの、各駅停車の待避駅を増やせなかったがために急行の所要時間が田園都市線急行列車が中央林間→渋谷間で概ね2分延びるようになったこと、合わせて前年7月の臨時列車運転でも臨時特急の前を走行していた長津田6時09分発大井町線直通急行大井町行きが、二子玉川着時刻を変えることなく長津田発時刻を2分繰り上げ6時07分発にしたことなどが挙げられる。
前年からの改善点は、前年は臨時特急を運転するために急行2本及び各駅停車4本で時刻変更を実施したが、今回の臨時列車運転では各駅停車1本の時刻変更にとどまっている。これは前年は東京都の急な要請に応える形となったが、今年はある程度臨時特急を運転できるよう想定してダイヤが作られていたのだろう。
なお、折返し列車は昨年に引き続き半蔵門7時45分発準急長津田行きを押上始発に延長して運転されることとなった。
3. 東横特急、8両で運転へ
また今回の2018年7月東急電鉄臨時列車運転では、前年は実施されなかった東横線・みなとみらい線でも増発を実施する。
東横線・みなとみらい線では時差Biz特急として元町・中華街発和光市行き東横特急が運転される。現在の平日の通勤特急の初列車が横浜6時42分発なのに対し今回増発される臨時東横特急は横浜6時23分発ということもあり、急行や各駅停車しかない時間帯での特急設定は速達性が向上しやすくなる。この臨時東横特急は地下鉄副都心線内は通勤急行として運転される。
ただこの臨時東横特急、平日朝の運転間隔ではなかなか運行しにくいようで、横浜駅で3分、渋谷で4分停車するほか、元住吉と自由が丘、東新宿で各駅停車を抜かすために各駅停車を時刻変更させている。また横浜→渋谷の所要時間が29分かかっており、昼間の東横特急の所要時間27分と比べると遅くなっているが、横浜6時台発の通勤特急の所要時間が32分、朝ラッシュ時の通勤特急の所要時間が35分~36分であることを考えると速いようにも感じる。ただこの臨時特急の周辺時間帯を走る急行が東横線内自由が丘のみでしか各駅停車を抜かさないのに対し臨時特急は自由が丘に加え元住吉でも各駅停車を抜かすことを考えると、やはり速い列車になるのだろう。
ただ、運転時間帯を意識したものかと思われるが、東横特急は2013年3月16日の地下鉄副都心線との直通運転開始後10両に統一されたにもかかわらず8両編成での運転となったほか、地下鉄副都心線では2006年6月14日の開業以降、急行・通勤急行は全て10両編成で運転されてきたが、今回の臨時列車運転では史上初の8両通勤急行が運転されることとなった。
ちなみに、武蔵小杉では目黒線と乗り換えることができるが、この時間帯は目黒線は各駅停車のみの運転となっており、迂回としての機能はあまり発揮できていない。ただ日吉6時31分発各駅停車西高島平行きを利用すれば武蔵小杉で臨時特急和光市行きに接続できるので、利用の幅は昼間の東横特急とほぼ同等に良さそうだ。
4. 東京メトロ・都営地下鉄でも増発へ
また今回の2018年7月東京メトロ・東京都交通局臨時列車運転では、時差Bizに合わせて臨時列車が増発される。
前年7月の臨時列車運転では東西線と半蔵門線で実施されたが、今年は対象路線を拡大し日比谷線と副都心線、都営大江戸線でも実施されることとなった。半蔵門線については東急田園都市線にてすべて扱ったので、それ以外の路線について見ていく。
まずは東西線。前年7月の臨時列車運転では西船橋6時15分発快速九段下行き、妙典6時25分発各駅停車九段下行き、九段下6時52分発各駅停車西船橋行きの3本が運転されたが、今年は2本に縮小し妙典6時25分発各駅停車高田馬場行き、その折返しの中野7時21分発各駅停車妙典行きが運転されることとなった。現在高田馬場行きの設定はされておらず、昨年の快速九段下行きと並んで珍しい行先となっている。
次に日比谷線。今年初の実施となるが、北千住6時23分発霞ケ関行きを運転する。こちらは折返し運用の営業運転はなく、平日運転の霞ケ関7時00分発北千住行きの送り込み回送列車を定期運転にしたものと思われる。
副都心線でも今年初の実施となるが、先述の東横特急に加え折返し運用ではない臨時列車が運転される。渋谷6時29分発各駅停車元町・中華街行きを和光市始発に延長して運転されることとなった。この時間帯的にも東横線と別途に臨時列車を運転したものと思われるが、先述の臨時東横特急が8両編成での運転であることから運用繰り目的もあるものと思われる。
さらに今年からは東京都交通局でも時差Biz列車を運転することとなった。都営大江戸線では光が丘6時38分発清澄白河行きが運転されることとなった。
今回の臨時列車運転ではこれらの列車が運転されるが、それに伴い各線で定期列車で時刻変更を実施することとなった。
5. 結び
今回の2018年7月東急電鉄・東京メトロ・東京都交通局臨時列車運転では、東京都の時差Biz政策に伴い平日朝に臨時列車が運転されることとなった。田園都市線で特急が復活したほか、東横線でも8両編成東横特急の復活、東西線では高田馬場行きの設定など今年も珍しい列車が多く設定されることとなった。
時差Bizは2019年1月~2月にも実施される予定であるから、今後どのような臨時列車が運転されるのか、見守ってゆきたい。
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