東京モノレールは2021年1月28日、プレスリリースにて3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年3月13日(土) ダイヤ改正について )。今回はこれについて見ていく。
1. 昼間の大規模減便実施へ
今回の2021年3月13日東京モノレールダイヤ改正では、昼間のダイヤパターン変更で大規模な減便を行う。
2020年時点では東京モノレールは昼間は浜松町から羽田空港各ターミナルまでノンストップの空港快速毎時5本、浜松町~流通センターは各駅に停まる区間快速毎時5本、昭和島で抜かれる普通毎時5本の12分サイクルダイヤで合計毎時15本の運転となっており、浜松町~羽田空港間の先着列車は空港快速と区間快速の合わせて毎時10本となっている。
しかし今回の2021年3月13日ダイヤ改正以降は昼間は空港快速毎時6本と昭和島で抜かれる普通毎時6本の10分サイクルダイヤで合計毎時12本の運転にまで減便し輸送力は20.0%減少するほか、浜松町~羽田空港間の先着列車は空港快速のみの毎時6本となる。これにより羽田空港先着列車は4~8分間隔から10分間隔に広がることとなった。空港快速は区間快速より速いとはいえ所要時間は4分しか変わらないため先着列車が8分間隔までなら利便性は落ちないと言えるのだが、10分間隔にまで落ちるとなると明らかに利便性が低下したと言わざるを得ない。
もっとも普通が昭和島で抜かれなければ先着毎時12本となるのだが、そのためには浜松町を2分間隔で発着する必要性があるものの、浜松町は1面1線しかなく折返しには最低2分かかり3分間隔発車が限度であることを考えると、昼間に空港快速に抜かれない普通を設定するのは空港快速を減便するほか不可能でやむなく昭和島での待避を継続することとしたのだろう。
なぜこんなにも大規模な減便を行うようになったかというと、日本全国で2020年に大幅な旅客減となった中、多くの都市鉄道では2020年10月~12月の利用客数は前年比20%減程度となり、訪日外国人需要の多かった東京メトロでさえも前年比30%減だったにもかかわらず、ほぼ空港輸送に特化している東京モノレールは前年比40~50%も減ってしまっているからなのだ。また東京モノレールと競合している京急空港線が2019年10月1日より加算運賃を120円値下げしたことで2019年時点でも既に利用が伸び悩んでいたことも挙げられる。そう考えると減便しても致し方なかろう。
また今回の東京モノレールダイヤ改正プレスリリースが京急電鉄ダイヤ改正の翌日公表だったことを考えると、京急電鉄のダイヤ改正内容により東京モノレールの昼間の列車配分を変えていた可能性がある。もし大井競馬場輸送で競合している立会川に停車する京急普通車が昼間毎時9本のままで空港線から品川方面の列車昼間毎時6本中毎時3本が2010年10月28日ダイヤ改正以前のようにエアポート急行に格下げするのであれば東京モノレールも昼間の区間快速を毎時3本程度残し空港快速を毎時3本に減らしていた可能性があっただろうが、京急空港線は昼間は毎時4.5本の快特と毎時1.5本のエアポート快特のまま変える気はないし品川~京急蒲田間の昼間の普通を毎時6本に固定化したことから、京急空港線に対抗するためだけに空気輸送の空港快速を昼間に毎時6本設定することとしたのだろう。
ただ京急の羽田空港行き快特は昼間は京急蒲田で本線普通浦賀行きと横浜方面から来るエアポート急行羽田空港行きに接続するため、雑色・六郷土手や空港線各駅沿線住民も利用できる。しかし東京モノレール沿線はそもそも住居の少ないエリアかつ空港快速から普通に乗り換えても新整備場にしか行けないので地域輸送で使われることはほぼないのだ。
旧快速のように空港快速を天王洲アイルに停車させないのも、先着本数が毎時6本のまま変わらないからというのもあるだろうが、流通センターや大井競馬場、天王洲アイルの乗車チャンスが毎時10本から毎時6本に大幅に減るとなると車内の混雑が増すだろうし、その分混雑分散を図らないのかとは思うが。また快速のうち毎時3本が区間快速であれば昭和島で普通を抜く必要がないので昼間先着毎時9本で組むことができることから利便性を損なうこともなかっただろうに。そう考えると今回のダイヤ改正のメリットは昼間の羽田空港利用者の分離くらいしかメリットがない。
そう考えると、今回空気輸送覚悟で昼間の空港快速を設定しているのは、国際線発着のある羽田空港から海外到着者専用列車を設定するための可能性は考えられそうだ。
この減便により昼間は13運用から11運用に2運用削減する見込みだ。
2. 平日朝夕の減便実施で区間快速は早朝の1本のみに大減便に
今回の2021年3月13日東京モノレールダイヤ改正では、昼間のみならず平日朝夕にも減便を行う。
まずは平日朝ラッシュ時。平日朝ラッシュ時はそもそも普通しか運転していないが(このため昭和島で抜かれることはない)、3分20秒間隔(毎時18本)から4分間隔(毎時15本)に減便し、輸送力が16.7%減少することとなった。
これによりもっとも車両運用数の多い平日朝ラッシュ時は16運用から14運用に削減することから、1000形2本を廃車にできる見込みだ。
また平日夕ラッシュ時は上り(浜松町方面)は2020年現在普通のみを4分間隔(毎時15本)運転しているが、今回のダイヤ改正より5分間隔(毎時12本)に減便する。これにより輸送力を20.0%減少することとなる。
これにより平日夕ラッシュ時は14運用から12運用に2運用削減する見込みだ。
なお平日下り18時~20時までと平日上り20時台以降は概ね区間快速2本を空港快速1本に置き換えている。まあ空気輸送必至の空港快速を運転するほどなら、これまで空港快速の運転がなかった平日夜間くらい区間快速のまま残しておいても良かったのではないかと思うが。
これにより区間快速は平日・土休日とも羽田空港第2ビル5時11分発浜松町行き初電1本のみの運転となり、他の区間快速はすべて廃止することとなった。
3. 終電繰り上げ実施へ
今回の2021年3月13日東京モノレールダイヤ改正では、終電繰り上げを実施する。
まずは下り(羽田空港方面)。2020年時点の終電は浜松町24時01分発区間快速羽田空港行きであったが、2021年1月20日から運休しており実質浜松町23時53分発普通羽田空港行きを最終としている。
しかし今回の2021年3月13日ダイヤ改正ではさらに終電を繰り上げ、浜松町23時45分発普通羽田空港行きを終電とする。これにより2020年時点と比べ終電を16分繰り上げるほか、1月20日以降の終電と比べても8分繰り上げることとなった。
次に上り(浜松町方面)。2020年時点では羽田空港第2ビル24時05分発空港快速浜松町行きが最終となっているが(なお2021年1月20日の終電繰り上げはなかった)、今回の2021年3月13日ダイヤ改正後は羽田空港第2ビル23時42分発普通浜松町行きを最終とする。これにより羽田空港各駅から浜松町への最終は23分繰り上がるのだが、流通センター→浜松町間では4分の繰り上げにとどまっているほか区間快速通過駅からの終電はむしろ3分繰り下がることとなった。
4. 結び
今回の2021年3月13日東京モノレールダイヤ改正では、平日朝夕ラッシュ時や全日昼間の減便を行うことで大幅な減便を行うこととなったほか、終電繰り上げも実施することとなった。
今後JR東日本の羽田空港アクセス線の開業が2029年度に控えている中、東京モノレールでどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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