東京メトロは2019年10月28日、プレスリリースにて2020年1月3日に渋谷駅移設に伴い銀座線でダイヤ改正を行うと公表した( 銀座線渋谷駅が生まれ変わります! )。今回はこれについて見ていく。
1. 銀座線渋谷駅移設へ
今回の2020年1月3日東京メトロダイヤ改正では、2019年3月1日のサイレントダイヤ改正以来約10か月ぶりに銀座線でダイヤ改正を実施した。
今回のダイヤ改正では、渋谷駅の移設に伴い行った。
渋谷駅の移設に伴い2019年12月28日~2020年1月2日まで銀座線では部分運休を行い、浅草~溜池山王間で折り返し運転を実施していたほか、外苑前のためだけに青山一丁目~表参道間を12分間隔で運転していた。
今回の部分運休は6日間に及ぶこともあり、銀座線各駅でのりば案内では渋谷方面の上から溜池山王方面をかぶせたり、縦型路線案内でも運休区間をすべて覆い見えなくする、さらには駅掲出ののりかえ出口案内も運休区間は全て潰していた。特に赤坂見附及び永田町では銀座線の存在を完全に抹消するなど執拗なほどに運休区間の表示を抹消していた。
そんな大規模な工事の結果、銀座線渋谷駅は2020年1月3日より表参道方に約130m移設した場所での営業開始を行うこととなった。これにより東急東横線には近くなったのだが、京王井の頭線から遠くなってしまった。JR各線は銀座線からJR各線に乗り換える際には実質JR中央改札一択のため100mほど遠くなってしまうが、JR各線から銀座線に乗り換える場合には山手線ホーム南端のハチ公口より中ほどの中央改札から乗り換えられるようになり、階段昇降が少なくなったことを考えるとやや利便性は上がっているように感じる(ただし山手線品川・恵比寿方面から利用する場合には玉川改札利用が一番の最短経路であったため、距離は伸びる)。
ただ、今回のホーム移設でホームが2面2線から1面2線に統合するため、ホーム幅は2面分をそのまま1面分に統合することとなり平日朝夕ラッシュ時の整列乗車実施時の収容力は上がったのだが、改札に関しては乗車用改札と降車用改札が同一の場所にまとめられてしまったため改札処理能力は変わっていない。ダイヤ改正前の到着ホームの中央改札は階段下にあったため混みやすかったことを考えると多少改善しているとは思うのだが、大きな混雑緩和にはならなさそうだ。
ちなみに銀座線渋谷駅新ホームにはホームドアの設置がない。国土交通省では2008年以降原則新幹線や利用客の多い新駅(1日3万人以上の利用を想定)には開業時よりホームドアを設置することを事実上義務付けているが(裏を返せば多くの利用客を見込めないおおさか東線各駅や可部線延伸区間は多くの利用は見込めないためホームドアの設置がない)、今回移設した銀座線渋谷駅は突貫工事により組み立てられた仮資材でホームを構築したためホームドアを設置するほどの重量に耐えられないようだ。
銀座線では浅草~表参道の各駅に既にホームドアを設置しているが、東洋初の地下鉄道ということもあり開業時には90年後にホームにドアを付けるだなんて想定していなかった。そのためホームドア設置に向けて全駅でホーム改良工事を行うなど大規模工事を行ったが、渋谷駅はホーム移設と同時に設置すると見込まれていたが、ホーム資材が届くまで暫定的にホームドアなしでの運用となったようだ。
国土交通省では2020年内に既存駅を含む1日利用者数10万人以上の駅に対してホームドアの設置を原則義務付けるとしているが、JR東日本でも新橋、渋谷、新宿などのかなり利用者数の多い駅で設置がままならないのに、間に合うのだろうか…
2. 運転本数維持で運用本数削減へ!
今回の2020年1月3日東京メトロダイヤ改正では、ダイヤはどうなったのだろうか。
どの時間帯でも運転本数は保たれているのだが、所要時間について見ていくと、平日朝ラッシュ時は渋谷→浅草間では浅草→渋谷間が34分から35分に延びてしまった。渋谷駅の移設により営業列車の走行区間は片道約130m縮んだはずなので、所要時間は短くなるはずなのだが…
また昼間の所要時間は浅草→渋谷では34分から33分に1分短縮したが、渋谷→浅草では33分から34分に延びてしまった。
これまでは渋谷駅に到着後全列車が引き込み線に入っていたが、渋谷駅移設に伴い渋谷駅到着手前でシザースクロッシングを渡ることとなったため、営業運転中の列車の走路で平面交差することとなった。このため営業中の列車が平面交差を行う箇所が浅草駅手前のほかに渋谷駅手前も増えてしまった。
これにより渋谷駅を100mほど移設して走行区間が短縮したものの、そのまま所要時間を短縮してしまうと浅草駅手前の平面交差でぶつかってしまうため、田原町→浅草間で1分所要時間を延ばすこととなった。結果、昼間は総じて所要時間の短縮はない。
ただ、渋谷駅で引き込み線に入れる必要がなくなったため、運転本数を変えないまま平日朝ラッシュ時の運用数は37運用から36運用に、昼間の運用数は2017年5月20日ダイヤ改正で所要時間が延びてから2年8か月間続いてる26運用から2017年5月19日までの25運用に減らすことに成功した。
3. 結び
今回の2020年1月3日東京メトロ銀座線ダイヤ改正では、渋谷駅の移設に伴いダイヤ改正を行った。
今回のダイヤ改正では渋谷駅引き込み線に全列車を入れる必要がなくなったため運用数は削減したが、営業列車の所要時間の短縮は総じて行われなかった。
今後東京メトロ銀座線でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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