中国鉄路総公司は6月30日、プレスリリースにて7月1日に全国規模でダイヤ改正を行うと公表した( 7月1日起全国铁路调图提速扩能 )。また中国鉄路総公司は6月28日、プレスリリースにて7月1日に昆楚大線を開業すると公表した( 昆楚大铁路7月1日开通运营 )。今回はこれらについて見ていく。
中国鉄路ダイヤ改正のうち広州集団鉄路公司管内についてはこちら!
1. 最高速度引き上げへ
今回の2018年7月1日中国鉄路ダイヤ改正では、2線区で最高速度の引き上げを実施する。
南寧~柳州間を結ぶ柳南客運専用線では最高速度が200km/hから250km/hへ引き上げられる。これにより、南寧~柳州間では高速列車CRHで最速1時間16分から59分に短縮されることとなった。ただこの59分運転を行うのは南京南発南寧東行きG1503列車と南寧東発南京南行きG1504列車の1往復のみで、その他の高速列車(主にD列車)は最速1時間04分で結ぶことで概ね12分短縮されることとなった。一方高速列車CRHは南寧→柳州は47本→42本に5本減便、柳州→南寧は47本→44本に3本減便されることとなった。なお、南寧~柳州間での快速や特快、直達特快の運転は継続される。そのほか、成都10時10分発広州行きK828快速列車が深圳東行きに延長し、広州16時45分発成都行きK827快速列車も広州始発から深圳東始発へ延長されることとなった。
また南京~合肥~武漢間を結ぶ寧蓉客運専用線でも最高速度が200km/hから250km/hへ引き上げられる。南京~合肥~武漢間では高速列車CRHで最速3時間01分から2時間30分へ、南京南~合肥南間では58分から52分に短縮されることとなった。また南京~合肥~武漢間の高速列車CRHは49往復から52往復に増発されることとなった。
今回最高速度が引き上げられた寧蓉客運専用線のうち六安~武漢間では在来線快速列車の運転が既にないが、その他の南京~合肥~六安間の快速運転区間では今回のダイヤ改正に合わせ快速列車の減便を実施した。
南京~合肥間では快速列車が6往復運転されていたが、今回のダイヤ改正で1往復にまで大幅削減されることとなった。廃止対象となったのは、上海11時48分発信陽行きK464快速列車、平頂山17時50分発上海行きK462快速列車、上海13時32分発重慶北行きK1152快速列車、重慶北10時07分発上海行きK1154快速列車、上海15時06分発南陽行きK1106快速列車、南陽21時30分発上海行きK1108快速列車、上海南23時20分発阜陽行きK8362快速列車、阜陽17時28分発上海南行きK8364快速列車の合計4往復8本となった。
そのほか、経由変更で合肥に向かわなくなった列車もある。上海11時41分発石家荘北行きK1012快速列車、石家荘北15時30分発上海行きK1014快速列車は合肥経由から蚌埠経由に変更されることとなり、所要時間が延び経路も遠回りになったことから運賃が値上げされることとなった。
なお、南京~合肥間で唯一生き残った快速列車1往復である上海11時16分発成都行きK1156快速列車は、馬鞍山、蕪湖、南充に追加停車することとなり、成都着時刻が15時30分から18時48分へ3時間18分繰り下がることとなった。また成都発上海行きK1158快速列車も同様に南充、蕪湖、馬鞍山に追加停車することとなり、成都発時刻が11時07分発から8時30分発へ2時間37分繰り上がったほか、上海着時刻も16時24分着から14時40分着へ1時間44分繰り上がることとなった。代替として南通発重慶北行きT237特快列車が蘇州始発に変更し、重慶北発南通行きT235特快列車が蘇州行きに変更され、ともに南京を経由することとなった。
また南通16時58分発西安行きK62快速列車及び西安14時16分発南通行きK60快速列車は合肥経由から蚌埠経由に変更されることとなり、合肥と南通を結ぶ快速列車は全滅し、高速列車CRHによる動車列車3往復のみとなった。なおこのK60快速列車とK62快速列車は所要時間は伸びるようになったものの、運転経路が短縮されたため運賃値下げを実施することとなる。
2. 新線開業で高速化へ
また今回の2018年7月1日中国鉄路ダイヤ改正では、雲南省内の昆明~広通~楚雄~大理間で新しい高規格新線として昆楚大線が開業した。
この昆楚大線は全長291kmで、既存の在来線広麗線358kmと比べ67km距離を短縮した。高速列車CRHも乗り入れ可能で、最高速度200km/hとなっている。
このうち昆明~広通間は既に成昆線改良線として2013年12月27日に開業しており、広昆線列車も含め改良線に転線していた。この昆楚大線を開業させるために広通~大理間の広麗線を2018年2月1日から運休にして接続工事を行っていたが、5か月ぶりに鉄道が再開することとなった。ただ、大理より先の麗江には高速列車CRHが乗り入れられないことから、昆明及び大理からノンストップの快速列車が設定されることとなった。
今回開業した昆楚大線を走行する高速列車は全て動車列車(D列車)での運転で大理発着で運転され、昆明→大理へは1日36本、大理→昆明へは1日37本が運転され、最速1時間52分で運転される。このうち10往復は昆明より東へ直通しており、南寧駅を全て経由し桂林北発着が3往復、広東南発着が2往復、北海発着が2往復、衝陽東発着が1往復、南寧駅経由南寧東発着が2往復となっている。これまで在来線快速列車で最速7時間10分であったが、最速1時間52分に大幅に短縮され、日帰り移動が可能になった。
また麗江発着の快速列車も見直されている。これまでは麗江発着の快速列車の多くは大理経由で運転されてきたが、大理に停車させてしまうと昆明~大理間の乗客が快速列車に流れてしまうため、高速列車CRH誘導で麗江発着の快速列車は大理までのシャトル列車と昆明までのノンストップ列車に分けられることとなった。昆明ノンストップ列車は1日6往復で運転され、全て1泊2日の夜行列車で設定された。原則昆明発着であるが、河口北始発1本と宜威発着1往復が他線に直通する。この快速列車の設定で、これまで昆明~麗江間で最速9時間10分だったところが、麗江→昆明間は最速8時間05分、昆明→麗江間は最速8時間52分で結ばれることとなった。どうやら快速列車も今回開業した昆楚大線経由に変更されたらしい。
また大理~麗江間ではシャトル式快速列車が設定され、1日8往復、最速1時間41分で結ばれることとなった。昼行で麗江から昆明へ移動するには、大理で高速列車CRHに乗り継ぐ必要が出た。ただ、こちらも麗江~昆明間の移動も日帰りででいるようになり、速達性は向上した。
そのほか、今回のダイヤ改正ではウルムチ鉄道管理局内では北疆線でウルムチ~伊寧間の快速列車を週5便増発した。また河北省では唐山~曹妃甸間で唐曹線(91.5km)が開業した。そのほか運用変更も実施され、北京と上海を結ぶ京沪高速線で350km/h対応の復興号の16両貫通編成が3往復に投入されるようになったほか、京津城際線の復興号率が8割を超えるようになった。
3. 結び
今回の2018年7月1日中国鉄路ダイヤ改正では、最高速度の引き上げが2路線で行われたほか、新線開業により雲南省内で所要時間が大幅に短縮された。また350km/h対応の復興号16両貫通編成が登場し、既存路線でもさらに高速化を図っている。
今後中国鉄路でどのようなダイヤ改正を実施するのか、350km/h対応路線が増えるのか、見守ってゆきたい。
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