J-TREC新津事業所では2021年6月にE131系の更なる製造を確認している。その後JR東日本横浜支社は2021年6月17日、プレスリリースにて2021年秋に相模線に新車E131系を投入すると公表した( 相模線への新型車両の投入について )。さらにJR東日本大宮支社は2021年6月17日、プレスリリースにて2022年春に日光線・宇都宮線に新車E131系を投入すると公表した( 宇都宮線・日光線に新型車両を投入します )。今回はこれらから2022年3月実施予定のJR東日本ダイヤ改正について見ていく。
1. E131系の追加製造でワンマン化拡大へ
今回の2022年3月ダイヤ改正までに、JR東日本ではE131系をさらに増備する見込みだ。
そもそもE131系は前回2021年3月13日JR東日本千葉支社ダイヤ改正で内房線・外房線・鹿島線用に投入した車両で、朝夕含め原則ワンマン運転となっている。運転は多くの列車で2両運転だが、平日朝はE131系2両固定編成を2本つなげた4両編成で運転している列車もあり、こちらもワンマン運転を実施している。このことから今回投入するE131系もワンマン運転を実施する可能性が極めて高そうだ。
2021年6月時点でJ-TREC新津事業所で確認されているのは、青い帯のE131系500番台4両固定編成及び茶帯のE131系600番台3両固定編成の2種類となっている。
このうち茶帯のE131系600番台3両固定編成は小山車両センター配置になりかつ帯色から日光線用であることはほぼ明らかと言えるだろう。ただ青い帯のE131系500番台4両固定編成は国府津車両センター配置になるのでおそらく相模線用ではないかと思われるのだが、相模線用にしては青が濃すぎるのである。
では実際にどのような運用になるのか、予測していこう。
2. E131系の相模線投入で将来的な八王子乗り入れ廃止視野か?
今回の2022年3月JR東日本ダイヤ改正までに相模線にE131系500番台4両固定編成を投入完了する見込みだ。
相模線は2021年現在205系500番台4両固定編成13本を運用している。この車両は1991年3月16日の相模線電化に合わせ一斉投入した新製車である。もしE131系が相模線置き換え用であればこの205系500番台13本を全て置き換えることになるのだが、車齢30年は他の鉄道各社の車両置き換えスピードと比べてもやや早い。近年日本の公営地下鉄でもワンマン化が進んでいるが製造後40年程度経過している場合は新車置き換えとセットのことが多いが、30年程度の場合は既存車両にワンマン機器を搭載することが多い。さらにJR東日本は2021年3月期決算発表の際に車両更新時期を遅くするとも言っているんだし、205系500番台にワンマン機器を搭載してあと15年走らせても良かったのではないかとは思うが。
相模線は朝夕は毎時4本運転かつピーク時は毎時2本の八王子乗り入れがあることから11運用あり、予備車2本が必要である。
ただ相模線の八王子発着列車は旧所属である豊田車両センターから出入りを兼ねていたのだが、そもそも橋本~八王子間は横浜線の長い8両編成の運転がほぼ終日毎時6本以上はあるから乗れないことはないし、国府津車両センター所属になった1996年以降は八王子発着で行う必要性はないほか、近年では横浜線にホームドアを設置するに当たり相模線の4両編成がかえって邪魔になりかねない。そうなると相模線に新型車両E131系を投入するに当たり1本削減するために相模線の八王子乗り入れを全面中止し全列車橋本止まりにする可能性は少なからずありそうだ。
(2021.6.17 追記)その後のプレスリリース公表にて相模線に投入するE131系の運転範囲は茅ヶ崎~橋本~横浜線八王子間とした。ただしこの運転区間は2021年秋の運転開始時であること、投入本数が既存の205系より1本少ない12本となっており八王子乗り入れを続ければ予備車が1本しかなくなってしまうことから、あくまで八王子乗り入れは205系と混ぜて運用している期間のみにとどまり、相模線をE131系のみで統一する2022年3月ダイヤ改正では1運用減らすために八王子乗り入れを取りやめる可能性が極めて高いだろう。
2.1. 相模線用E131系は横須賀線運転も視野か?
確かにE131系500番台4両固定編成は国府津車両センター所属であることからも相模線所属になる可能性が高い。しかし本当に相模線だけの運用になるのだろうか。
2021年現在相模線は朝夕は11運用あるが、昼間は毎時3本の全便橋本止まりでの運転のため8運用での運転となり、朝夕と比べると3運用余るのである。
まあ朝夕の方が運用数が多くて昼間は車庫で眠る車両が多いのはどこの路線でもそうだし実際2021年現在の相模線はそうなのだが、横須賀線逗子~久里浜間で昼間に4両単独運転が2運用あることを考えると、朝夕は相模線用に使用するE131系500番台のうち一部を昼間だけ横須賀線に貸し出し、逗子~久里浜間で昼間だけE131系によるワンマン運転を行うのではないだろうか。
もっとも横須賀線用E217系やE235系は鎌倉車両センター所属のため、横須賀線・総武線快速などの用途にしか使用しないのであれば鎌倉車両センター所属になるはずである。しかし昼間に運用が空いている相模線車両によるワンマン運転であれば鎌倉車両センターに配置する義務はないので、所属は国府津車両センターでも構わない。
もし昼間に相模線用E131系を昼間だけ横須賀線逗子~久里浜間に貸し出すのであれば朝夕は15両運転用に使用しているE217系及びE235系の4両付属編成をわざわざ編成から解結する手間が省けるし、E235系4両付属編成にワンマン機器を取り付けなくても横須賀線内でワンマン運転ができる。しかも国府津車両センターへ回送する代わりに逗子に送り込めばいいので回送もそこまで無駄にはならない。そう考えればワンマン化の分経費節減となる。
また相模線用のはずのE131系500番台4両固定編成の一部が昼間だけ横須賀線運用に就くのであれば、E131系500番台の帯色が相模線の水色ではなく横須賀線寄りの青色になるのは矛盾はしないし、むしろ相模線からわざわざ帯色を変える必要がない。そう考えればE131系は相模線のみならず昼間の横須賀線逗子~久里浜間でのワンマン運用も想定しているのではないだろうか。
(2021.6.17 追記)その後のプレスリリース公表にて2021年秋に相模線にE131系を投入することを公表した。もっとも2021年秋では大幅な回送運用の見直しはできないため昼間の横須賀線運用を相模線用E131系が受け持つことはないのだが、2022年3月ダイヤ改正では運用見直しを行うことで実施できることから、可能性は十分ありそうだ。
3. E131系の日光線投入で減車も減便回避か
今回の2022年3月JR東日本ダイヤ改正までに日光線にE131系600番台3両固定編成を投入する見込みだ。
日光線は205系600番台の4両固定編成で運転しているが、もしE131系600番台に置き換われば3両固定編成になるので1両減車することになる。
日光線の2018年度の輸送密度は宇都宮~鹿沼間で8,562人/日・往復、鹿沼~日光間で4,301人/日・往復となっている。昼間に毎時1両の運転で4,000人/日・往復まで運べるとすると昼間は需要の多い宇都宮~鹿沼間に合わせても毎時3両あれば足りるし、平日夜は毎時5両、平日朝は毎時8両あれば十分足りる。2021年現在朝夕は宇都宮~鹿沼間は毎時3本で約20分間隔(鹿沼~日光間は半減し毎時1.5両、約40分間隔)、昼間は全線で毎時1本の運転であるが、4両編成から3両編成に減車しても昼間は毎時3両分あれば運べるから3両編成毎時1本で十分運べるし朝も毎時9両分あれば十分運べるから3両編成毎時3本で運びきれてしまうのである。そう考えると千葉支社に投入した2両固定編成ではなく3両固定編成としたのは完全に日光線の需要を捉えた編成であり、合理的と言えるし投入すると言って間違いないだろう。
ただ日光線には2013年3月16日ダイヤ改正より205系600番台が転属し全列車置き換えている。おいおいなぜ転属した際にワンマン機器を取り付けなかったJR東日本。この時取り付けておけば今回の新車製造はなくても済んだんだろうに。
3.1. 宇都宮線でも205系置き換え実施へ
ただ栃木県内では205系4両編成は日光線のみならず宇都宮線宇都宮~黒磯間でも運用している。宇都宮線205系4両編成をE131系3両編成に置き換えることはあるのだろうか。
日光線は朝夕は宇都宮~鹿沼間で約20分間隔、鹿沼~日光間で約40分間隔で運転するため4運用必要だが、昼間は宇都宮~日光間で毎時1本のみの運転となるため2運用のみとなる。このため昼間は2運用余ることから宇都宮線に昼間だけ運用しワンマン運転を行う可能性はゼロではない。
なお宇都宮線用205系は6運用で昼間は宇都宮~黒磯間の普通列車は烏山線直通を除き205系で運転するのだが(昼間4運用)、朝夕は205系だけでは運用数が足りないため夕方はE231系などの5両付属編成、朝はグリーン車付きの10両編成まで運用しているほか、朝の205系は2本つないだ8両編成で運転している。そう考えると宇都宮線205系4両編成をE131系3両編成に全て置き換えてしまうと朝の積み残しや夕方の増結を図らなくてはならず、昼間のワンマン運転が相殺されてしまう。そうなると少なくとも次回2022年3月ダイヤ改正ではE131系は栃木県内では日光線のみの運転で、宇都宮線ではまだ運転しないのではないだろうか。
というか宇都宮線に3両編成を投入するなら交直流対応の431系3両編成でも投入して朝夕は黒磯~新白河間運転、運用数の少ない昼は宇都宮~黒磯~新白河間直通運転でもやればいいのに。
(2021.6.17 追記)その後のプレスリリース公表で202年3月ダイヤ改正で宇都宮線小山~黒磯間にもE131系3両編成を投入することが決まった。
ただ現在日光線用を含め205系4両固定編成は12本にもかかわらずE131系3両固定編成は15本の投入であることを考えると、3本増えている。これは朝夕の宇都宮以北のE231系運用の一部(朝は10両編成1運用、夕方は5両編成2運用)をE131系で置き換えるためではないだろうか。
また205系は宇都宮線小金井以北のみの運用となっているが、今回投入するE131系は小山以北での運用となりエリアが若干拡大している。これを考えると早朝に運転しているE231系またはE233系10両編成による小山5時42分発黒磯行き初電及び折返しの黒磯7時32分発普通上野行きのうち黒磯→宇都宮間でE131系6両での運転に置き換わりそうだ。
このほか黒磯5時27分発普通上野行き初電は黒磯→小金井間でE231系またはE233系5両運用となっているが、平日夕ラッシュ時の宇都宮~黒磯間E231系またはE233系5両運用がE131系3両運用に置き換わるとすればその折返しとなるので黒磯→宇都宮間はE131系3両編成に置き換わるだろうしもしかしたら小金井まで置き換わるかもしえない。そうなれば宇都宮または小金井で乗り換えとなりそうだ。
そうなると黒磯と上野を直通する列車は黒磯6時51分発普通品川行き1本のみに削減する可能性がある。
また上野・東京方面と昼間だけ系統分離して小山・小金井~宇都宮間で3両編成2本をつなげた6両編成で毎時3本運転する可能性もなくはないが、6両化した時にツーマン運転でしかできないのなら効果は乏しいことから宇都宮以南は昼以降は現状通りとすべきではないだろうか。
4. 結び
今回の2022年3月実施予定のJR東日本ダイヤ改正では、相模線や日光線にE131系を投入する見込みの他、横須賀線で昼間に逗子~久里浜間でE131系によるワンマン運転を行う可能性がある。
今後新型車両の投入に伴いJR東日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
コメント
当分置き換えができなそうな、主に651系や253系向けの、界磁添加励磁制御用の部品確保が目的では?