JR東日本八王子支社は2019年12月13日、プレスリリースにて2020年3月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち中央線特急「あずさ」「かいじ」「富士回遊」「はちおうじ」「おうめ」について見ていく。
1. 山梨県内で特急「あずさ」の停車駅増加へ
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、特急「あずさ」の停車駅が見直される。
前回の2019年3月16日ダイヤ改正ではE353系への統一化と全車指定席化に伴い停車駅を大幅に削減し所要時間短縮を図ったが、今回のダイヤ改正でそのうち一部が戻り、停車駅が増えることとなった。
特急「あずさ」は山梨県内で塩山、山梨市、石和温泉の3駅の停車がなくなったが、今回のダイヤ改正よりこの3駅の停車が復活することとなった。
とはいえ、停車するのは特急「あずさ」18往復3駅とも2往復4本であるため、前回の2019年3月16日ダイヤ改正で行った各駅7~10本分停車駅削減を図ったことから、前回の2019年3月16日ダイヤ改正以前と比べるとやや停車本数が減っている。
そもそも前回の2019年3月16日以降土休日に松本発着の「かいじ」を塩山、山梨市、石和温泉の3駅停車目的で1往復運転していたのだが、結局今回のダイヤ改正で定期列車に戻すこととなったようだ。
この停車駅増加により、新宿22時00分発「あずさ55号」松本行き最終列車は松本23時46分着から23時49分着に3分繰り下げることとなった。
また韮崎の停車本数は14本から16本に増加したが2019年3月16日ダイヤ改正以前の18本よりはやや減っているほか、小淵沢に至っては停車本数は28本のまま増加しなかった。
2. 長野県内で特急「あずさ」の停車駅増加へ
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、長野県内でも停車駅を増加する。
富士見は停車本数が4本から9本に倍以上に増加するが、2019年3月16日ダイヤ改正以前は11本停車していたことを考えると多少減ったものの利便性はほぼ戻るようだ。
次に下諏訪。こちらも停車本数が4本から9本に倍以上に増加するが、2019年3月16日ダイヤ改正以前は16本停車していたことを考えると多少回復したとはいえ2年前と比べると停車本数が減ったと言わざるを得ないだろう。ちなみに下諏訪停車の列車は全て富士見に停車する列車と一致するのは、2020年3月14日ダイヤ改正以後も継続する見込みだ。
このほか岡谷と塩尻は松本8時00分発「あずさ10号」東京行きが停車することとなったため、1本増停車することとり両駅とも停車本数は25本となった。
なお前回の2019年3月16日ダイヤ改正で全停車駅から落ちた上諏訪の1往復通過は維持することとなった。
これらの停車駅増加により松本8時00分発特急「あずさ10号」東京行きは東京10時45分着から10時54分着に9分繰り下がった一方、松本6時25分発「あずさ2号」東京行きは停車駅と東京9時27分到着は変えずに松本発時刻を5分繰り下げ6時30分発とした。
このように、結果特急「あずさ」の停車駅は僅か1年で増加に踏み切ったのだが、総じて見ると若干減っている。ある意味停車駅の選別を行うという意味では前回の大幅な停車駅削減はある程度意味はあったようだ。
このほか今回の2020年3月14日ダイヤ改正では、大糸線南小谷発着の特急「あずさ」の設定を見直す。これまで大糸線南小谷発着の特急「あずさ」は千葉6時38分発特急「あずさ3号」南小谷行きと南小谷14時22分発特急「あずさ26号」新宿行きの1往復であったが、今回のダイヤ改正より新宿8時00分発特急「あずさ5号」南小谷行きと南小谷15時01分発特急「あずさ46号」新宿行きの1往復に再編することとなった。
これにより南小谷発着の特急「あずさ」は全て新宿発着での設定となり、千葉乗り入れを廃止することとなった。
3. 特急「富士回遊」増発へ
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、特急「富士回遊」を増発する。
そもそも特急「富士回遊」は土休日は2020年3月14日ダイヤ改正後より1往復の臨時列車を設定していたのだが、2019年10月より平日にもほほ毎日1往復の臨時列車を設定することとなったことから、定期化してもおかしくはなかった。
今回増発する特急「富士回遊」は、毎土休日に臨時で運転している1往復の時刻に近いものとなっている。定期列車として設定するのは千葉6時38分発特急「富士回遊3号」河口湖行きと河口湖16時51分発特急「富士回遊44号」新宿行きで、ともに特急「あずさ」と併結する。
もっとも特急「富士回遊」と併結する特急「あずさ」は併解結する大月に停車するのだが、この特急「あずさ」は特急「あずさ」が停車し得る駅全てに停車している、一番停車駅の多い列車となっている。
これにより千葉始発の特急「富士回遊」を設定することとなった。
ただ、臨時列車の定期化は良いのだが、特急「あずさ」が大月~松本間で1往復が12両から9両に減車するのはまだしも、特急「富士回遊」では臨時列車時代はE257系5両で運転していたものを定期列車格上げと同時にE353系3両での運転に短縮して供給は足りるのだろうか。なんだかただの合理化にしか見えないのは気のせいだろうか…
また特急「富士回遊」が「かいじ」のみならず「あずさ」とも併結することにより、「あずさ」と「かいじ」で列車号数をそれぞれ割り振ってしまうと「富士回遊」の号数が重複するほか数字順にならない可能性が出るため、今回のダイヤ改正より特急「あずさ」「かいじ」の列車号数を常磐線特急「ひたち」「ときわ」とは異なり両列車通番して付番することとなった。これにより特急「あずさ2号」の設定が消えることとなった。
このほか、特急「富士回遊」は今回のダイヤ改正より全通過だった下吉田に全停車することとなった。
4. 特急「はちおうじ」減便で特急「おうめ」に振り替えへ
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、中央本線特急「はちおうじ」1本を青梅線特急「おうめ」に置き換える。
東京18時30分発特急「はちおうじ3号」八王子行きは、今回のダイヤ改正より特急「おうめ1号」青梅行きに変更することになった。
かつて「中央ライナー」として運転していた際には特急「あずさ」「かいじ」と料金差があったため「中央ライナー」も混んでいたが、2019年3月16日ダイヤ改正で「中央ライナー」を特急「はちおうじ」に格上げした際に特急「あずさ」「かいじ」と同額になったことから、短距離の特急「はちおうじ」が空くようになったようだ。
とはいえ、特急「はちおうじ」を特急「おうめ」に変更したところで立川までは行くので影響は少ないし、この時間帯は京王線「京王ライナー」の運転がないので競合する有力な列車が他の時間帯と比べてないともいえる、いやむしろ西武新宿線「拝島ライナー」に事実上完敗してしまったのが悔しいのかもしてない。
そう考えると、15分待てば乗れる八王子へ行く旅客よりも、もっと多くの旅客を取れかつ東京~河辺・青梅間でより多くの特急料金が取れる特急「おうめ」にシフトした方が良いと判断するのも無理はない。
4. 結び
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、特急「あずさ」の停車駅増加や特急「富士回遊」の増発など、利便性の向上を図る面が目立った。
しかし所要時間は伸びる傾向にあり、速達性という観点ではやや劣っている感はある。
今後中央本線特急でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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