JR北海道は2020年12月9日、プレスリリースにて2021年3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 来春のダイヤ見直しについて )。今回はこれについて見ていく。
1. 特急列車の減便実施で最終繰り上げへ
今回の2021年3月13日JR北海道ダイヤ改正では、特急列車の削減を行う。
ではどのように削減を行うのか見ていこう。
1.1. 特急「カムイ」一部臨時化へ
まず行うのは函館本線特急「カムイ」2往復の臨時化。今回臨時化するのは昼間の2往復で、原則土休日には運転する。特急「カムイ」は「ライラック」と合わせて1時間に1本は列車を確保しているので、大幅に悪化することはないだろう。むしろこのご時世で幹線特急も含め減便を行わざるを得なくなっており、JR西日本でも湖西線特急「サンダーバード」、JR九州でも日豊本線特急「ソニック」の減便を行っている(とはいえ毎時1本以上の運転を確保している)ことを考えると、致し方なかろう。
1.2. 特急「北斗」減便で最終繰り上げへ
次に室蘭本線特急「北斗」。今回のダイヤ改正で昼間の1往復を臨時化したほか、終列車1往復を廃止することとなった。
まず臨時化。今回臨時化する特急「北斗」は函館8時55分発特急「北斗5号」札幌行きと札幌13時27分発特急「北斗14号」函館行きの1往復となっている。当初の予定では4月・10月・11月の水曜日・木曜日のみ運休の予定だったのだが、このご時世で利用が伸び悩んでいるため4月以降祝日を除き水曜・木曜は無期運休となっている。
次に減便。今回減便するのは函館19時54分発特急「北斗23号」札幌行きと札幌20時00分発特急「北斗24号」函館行きの1往復となる。これにより函館から札幌への最終は1時間05分繰り上がるのだが、札幌から函館への最終は繰り上がりすぎるため札幌18時10分発特急「北斗22号」函館行きを繰り下げ札幌18時46分発特急「北斗22号」函館行き最終として設定し、最終を1時間14分繰り上げることとなった。
これにより特急「北斗22号」札幌行きは北海道新幹線最終「はやて100号」新青森行きに連絡できなくなったほか、東京15時28分発東北北海道新幹線「はやぶさ33号」新函館北斗行きから連絡できる特急「北斗」がなくなった。
また千歳には特急「北斗」では「北斗23号」のみが停車していたが、今回の減便により千歳に停車する特急「北斗」は再びなくなることとなった。
ただ2031年3月予定の北海道新幹線札幌延伸を控えている中、開業10年前に終列車を繰り上げるのはやや不安ではある。先行きは大丈夫なのだろうか。
1.3. 特急「大雪」「サロベツ」減便で快速頼みに
また今回のダイヤ改正では石北本線特急「大雪」2往復及び宗谷本線特急「サロベツ」2往復中1往復を臨時化する。臨時化と言っても運休するのは4月・5月・10月・11月の火曜日~木曜日のみ、すなわち1年365日中300日程度は運転する予定として組んでいたのだが、このご時世で利用が落ち込んだために火曜日~木曜日の運休を2021年は7月8日まで拡大したのである。臨時化して運休日が増えて経費節減できてよかったねJR北海道。もう石北本線特急「大雪」の運休を特快きたみでカバーするなんて石北本線特急とはなんなんだろうね。
なお、特急「大雪」が臨時列車となり運転日を記載しなくてはならなくなった関係で、JTB時刻表の石北本線の時刻表本文が1ページから1.5ページに増え、代わりに1往復減便しややスカスカ気味だった宗谷本線が2ページから1.5ページに縮小することとなった。これにより1ページ目のページ数は変わらないのだが、石北本線がページめくりを跨いでいるので2ページ目を見逃しやすいというのと、宗谷本線が左ページの半分から始まるのでまあ見にくいのである。日高本線大幅廃止時となる2021年4月号でも詰めることなく石北本線と宗谷本線で1.5ページずつとなっている。
ただJR北海道では2021年2月にラベンダー編成ではない青いキハ261系を4両投入しているほか、その後も追加で4両ほど制作している。室蘭本線特急「北斗」では7両から5両に、石勝線特急「おおぞら」では6両から5両に減車しているのにもかかわらず、車両増備をしているのは普通はおかしいしもし反映するのであればキハ183系使用の特急(「オホーツク」しかない)にキハ261系を入れて置き換えるべきなのだが、その車両置き換えもない。ただ車両は余っているはずなので、2022年以降に石北本線特急「オホーツク」にキハ261系を投入する可能性が高まっているのではないだろうか。
2. 室蘭本線にH100形投入で高速化へ!
今回の2021年3月13日JR北海道ダイヤ改正では、最新気動車H100形を室蘭本線や宗谷本線に投入する。
もっともキハ40系列の置き換え目的で投入するのだが、H100形の投入による所要時間短縮がすさまじすぎるのである。
H100形は前回の2020年3月14日ダイヤ改正で函館本線長万部~小樽間での運転を中心に営業運転を開始したが、既存のキハ40系列と1~2分程度しか時間が変わらなかった。しかし今回のダイヤ改正では室蘭本線や宗谷本線に投入することにより、室蘭本線では平均4分以上、宗谷本線(駅廃止分を除く)でも約11分の所要時間短縮を図るのである。
加速度が上がっているので多少は所要時間の短縮をできるだろうが、加速度の向上が理由であれば既に函館本線で投入したH100形も大きく所要時間を短縮しているはずである。ではなぜこんなに室蘭本線や宗谷本線で所要時間が短縮するかというと、室蘭本線や宗谷本線ではそもそも特急列車が120km/hで走っているためキハ40系列の95km/hからH100形の100km/hへ最高速度を引き上げることができるためではないだろうか。
これにより駅廃止に伴う停車時間削減も合わせて、宗谷本線では名寄6時23分発普通旭川行きに至っては全区間所要時間を2時間01分から1時間30分に短縮する始末である。
ただ室蘭本線用のH100形はキハ40系列、だけではなくまだ製造後30年程度しか経っていないキハ150形運用もほぼ置き換えている。もっともキハ143形運用を置き換える方が先ではないかとは思うが、キハ150形を置き換えたことで廃車にせず転属、室蘭本線岩見沢~苫小牧間や石勝線普通列車のキハ40系列をキハ150形で置き換えることとなった。これにより室蘭本線の普通列車は原則H100形とキハ143形で運行することとなる。
このほか石北本線でも旭川~上川間の普通列車2本にH100形を投入する。今回投入したのは上川6時53分発普通旭川行き(休日運休)及び上川7時26分発普通旭川行きの2本となっている。今後の旭川運転所へのH100形投入に伴い順次石北本線の気動車を置き換えていくことにしているのだろう。
3. 普通列車の減便で合理化へ
今回の2021年3月13日JR北海道ダイヤ改正では、全道に渡り減便を図る。
では各地でどのような減便を行うのか、見ていこう。
3.1. 札幌都市圏でも減便実施へ
まずは札幌都市圏。そもそも平日も土休日も同じ運転本数で運転していたため土休日朝に空くのは至極当然である。このことから今回のダイヤ改正では土休日のみ運休する列車を朝を中心に13本設定することとなった。
このほかにも札幌都市圏で全日運休の列車を今回のダイヤ改正で函館本線札幌~ほしみ間で昼間に1往復、千歳線で2往復(うち1往復は苫小牧始発終着)で設定することとなった。これにより千歳線では昼間に1時間普通列車(快速エアポートを除く)が来ない時間帯が生まれることとなった。
このほか千歳線快速エアポートは土休日に限り朝の2往復と夜間の1往復を減便することとなった。おそらく乗務員行路を1運用削減するためだと思われるが、指定席(uシート)連結列車の快速を土休日運休にしていいものなのだろうか。
3.2. 空知地区各線で減便実施へ
次に空知地区。各線で減便を図る。
まず函館本線。旭川22時04分発滝川行き最終を廃止する。これにより旭川から深川・滝川への最終は特急「ライラック45号」利用の場合4分、普通列車を利用の場合1時間08分繰り上がることとなった。このほか運用繰りの関係で旭川19時30分発普通深川行きを滝川行きに延長する。
次に留萌本線。留萌8時11分発深川行き、留萌13時30分発深川行き、深川19時22分発留萌行きの3本を廃止した。これにより留萌本線では後ろ1両締切による2両運転を取りやめ、全列車増解結なしの1両編成での運転となる見込みだ。
さらに根室本線でも減便を図る。空知管内では滝川9時42分発東鹿越行きを富良野行きに短縮したほか、東鹿越12時09分発滝川行きを全区間で短縮した。
なお根室本線では依然東鹿越~新得間で不通状態が続いているが、ここまで長引いていることを考えると復旧させる見込みはないのではないだろうか。
3.3. 十勝地区でも減便実施へ
次に十勝地区。根室本線を中心に減便を図る。
まずは新得~帯広間。帯広10時02分発普通新得行き及び新得10時35分発快速帯広行きの1往復を廃止する。これにより帯広から芽室・新得方面へは普通列車が昼間に4時間19分来ない時間帯が発生することとなった。おいおい保守間合いじゃないんだから下り(池田・釧路方面)のように運転間隔を均等化して2時間に1本程度来させても良かったのではないだろうか。
また帯広17時52分発普通新得行きを芽室行きに短縮し、利便性救済のために帯広18時19分発快速新得行きを帯広18時18分発普通新得行きに格下げした。
さらに厚内6時14分発普通釧路行きを音別6時33分発普通釧路行きに短縮する。厚内6時14分発釧路行きは釧路総合振興局管内の直別や尺別から釧路への通学にも利用できたが、厚内は十勝総合振興局管内のため釧路への通学ができない。さらに直別、尺別の両駅が2019年3月16日JR北海道ダイヤ改正にて廃止になってからは厚内→音別間は空気輸送と化した。つまり今回の厚内6時14分発釧路行きの音別始発への短縮は前回2019年3月16日ダイヤ改正でやらなければならなかったことである。そう考えれば今回の減便は妥当ではないだろうか。
このほかオホーツク総合振興局管内では石北本線遠軽16時40分発普通生田原行き下校列車を廃止した。
4. 廃駅・廃線加速で合理化へ
今回の2021年3月13日JR北海道ダイヤ改正では、JR北海道管内で18駅を廃止する。廃止するのは宗谷本線の12駅のほか、函館本線伊納、石北本線北日ノ出・将軍山・東雲・生野、釧網本線南斜里となっている。
このうち釧網本線南斜里は2015年~2019年の5年平均ではJR北海道の廃駅基準である利用者数3人/日を超えていたのだが、それまでは1人/日程度しかいなかったことから斜里町が廃止に合意し、廃止することしたようだ。近年増えていたのはおそらく葬式鉄によるものだろう。
今回のダイヤ改正によりJR北海道管内では宗谷本線含め18駅廃止するほか、2021年3月31日を以て日高本線鵡川~様似間が廃止となることから116.0km、24駅削減することにより、JR北海道の旅客営業範囲は2400.5km、391駅から2284.5km、349駅にまで削減する見込みだ。もはやJR九州と11.5kmしか変わらない。
また日本最短の本線が留萌本線の50.1kmから日高本線の30.5kmに取って代わった。もはや地下鉄1本分くらいしか営業キロのない路線、都道府県や振興局を跨がない路線が本線のままでいいのだろうか。
ただ今後もJR北海道管内の廃駅は続く見込みで、少なくとも宗谷本線歌内は2022年3月ダイヤ改正で廃止する見込みだ。そうなると今後もJR北海道管内の駅廃止は続くだろう。
5. 結び
今回の2021年3月13日JR北海道ダイヤ改正では、特急列車の減便や全道に渡る普通列車の減便で列車走行キロを削減することとなった。
今後キハ261系やH100形の投入や北海道新幹線札幌延伸などによりJR北海道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
コメント