JR北海道は2020年12月9日、プレスリリースにて2021年3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 来春のダイヤ見直しについて )。今回はこのうち宗谷本線について見ていく。
1. 宗谷本線で12駅廃止へ
今回の2021年3月JR北海道ダイヤ改正では、JR北海道管内で18駅を廃止する。
このうち宗谷本線の南比布・北比布・東六線・剣淵・下士別・北星・南美深・紋穂内・豊清水・安牛・上幌延・徳満の計12駅を廃止することとなった。
プレスリリースによればさらに17駅を廃止検討に挙げていたようだが、沿線自治体負担により存続することとなった。これにより音威子府村と中川町内では廃駅ゼロである。
なおこれらの廃止検討駅はたいてい沿線の人口が少なく廃止になっても致し方のない駅なのだが、蘭留は簡易局とはいえ郵便局があるほどには発展している街だし、ついこの前まで小学校もあったのだが。そんな蘭留を存続させるのは当たり前で、廃止しようとしていたJR北海道は本当に沿線事情は本当に分かっているのだろうか。
なおこの廃駅だけでも、旭川~名寄間で約12分所要時間を短縮することとなった。名寄~稚内間に関してはプレスリリースに記載はないが、ほぼすべての列車で5~15分程度所要時間を短縮する見込みだ。
なおJTB時刻表では宗谷本線に2ページを割いているが、駅数が多いゆえかなり下まで誌面を使っている。今回のダイヤ改正では1ページに収まるのは難しそうだが、12駅廃止することで24行空くことから列車名の欄ができてもおかしくなさそうだ。
2. 特急「サロベツ」一部臨時化で終列車繰り上げへ
また今回の2021年3月JR北海道ダイヤ改正では、宗谷本線特急「サロベツ」のうち1往復を臨時化する。
今回のダイヤ改正で臨時化するのは稚内13時01分発特急「サロベツ4号」旭川行きと旭川20時06分発宗谷本線特急「サロベツ3号」稚内行きの1往復である。臨時化といっても運休日は1年365日中30日程度なので概ね運転するのであるが、運休日には最終が繰り上がるのである。
と旭川20時06分発宗谷本線特急「サロベツ3号」稚内行きが運休しても名寄までは後続に旭川21時30分発宗谷本線快速なよろ7号を運転するのでほぼ問題ないのだが、音威子府までの最終は旭川18時00分発快速なよろ5号からの連絡に2時間06分繰り上がるほか、稚内までの最終は旭川13時35分発特急「サロベツ1号」まで繰り上がることとなった。もはや輸送密度300人/日程度の区間なんて形式的に列車だけ走らせておけばいいという判断なのだろう。
なお宗谷本線特急「サロベツ3号」「サロベツ4号」が運休するのは4月・5月・10月・11月の火曜~木曜約50日中30日程度としている。ただ鹿との衝突が多かったり雪が深くて運用離脱が多い12月~2月に運休日の設定がない点を見ると、予備車を削減しに来ているのかどうかやや怪しい(しかも2020年12月は鹿と接触しすぎてキハ183系の予備車も使えなくなりキハ54形が特急代走に入る始末)。早く鹿の入りにくい高速道路のような高規格道路を稚内までつなげて安定的に輸送できるようにすることが道北にとっては鉄道の存続より重要ではないのだろうか。
3. 宗谷本線にH100形大量投入へ!
また今回の2021年3月JR北海道ダイヤ改正では、宗谷本線に新型車両H100形を投入する。
今回宗谷本線でH100形による運転になるのは旭川~名寄間の列車(区間運転列車含む・石北本線直通列車除く)37本中34本となっており、新旭川~名寄間のほとんどの普通列車・快速列車が新型車両H100形による運転となる。
H100形は前回の2020年3月14日ダイヤ改正で函館本線長万部~小樽間での運転を中心に営業運転を開始したが、既存のキハ40系列と1~2分程度しか時間が変わらなかった。しかし今回の2021年3月ダイヤ改正で宗谷本線に投入するのに伴い所要時間が大きく短縮することとなったのは、既に高速化対応しており120km/h運転が可能なことから、普通列車の最高速度を95km/hから100km/hに引き上げることができるためであろう。
これによりH100形の投入だけで旭川~名寄間の所要時間が約11分短縮することとなり、先述の廃駅による所要時間短縮と合わせて普通列車でも約23分所要時間が短縮する見込みだ。これにより名寄6時23分発普通旭川行きに至っては全区間所要時間を2時間01分から1時間30分に31分も所要時間を短縮する見込みとなった。
また宗谷本線快速なよろもH100形投入により旭川~名寄間最速1時間22分から1時間09分に13分短縮する見込みだ。特急より快速の方が運転本数が多くてしかも特急列車ですら3往復中1往復しか札幌まで乗り入れない中、特急で最速54分で到達するところを快速で1時間09分で行けるようになってしまったらもはや特急の意味がないのである。
なおプレスリリースでは宗谷本線と札幌方面特急との接続改善について書いているが、初終列車の接続列車は変更はないようだ。
なお残る3本は音威子府方面への直通列車となっていることから、名寄~稚内間では引き続きキハ54形を運転するほか、旭川運転所からの送り込み運用も兼ねて旭川~名寄間のうち3本は既存の気動車として残すこととしたのだろう。
旭川運転所では前回の2020年3月14日ダイヤ改正以降順次函館本線で使用していたキハ150形が転属しており、キハ54形の運用のうち石北本線の一部で運用している。このことから旭川運転所ではキハ54形が余り、石北本線や宗谷本線でキハ40系の運用の一部を置き換えている。このことから宗谷本線では2020年7月以降名寄以北でキハ40系列の運用が確認できていない。そう考えると今回の2021年3月ダイヤ改正以降は名寄以北の普通列車は全てキハ54形による運転となる見込みだ。
ただキハ54形はキハ40形と比べ性能がいいため宗谷本線内でもキハ54形専用運用はやや所要時間を短く設定している。これまで旭川から音威子府方面へ直通する列車はキハ40系が運用することもあったためキハ40系に合わせた所要時間としていたが、今回の2021年3月ダイヤ改正で宗谷本線普通列車からキハ40系運用がなくなれば、H100形運用ではない普通列車も数分程度ではあるが所要時間を短縮する可能性がありそうだ。このことから音威子府6時33分発快速なよろ2号旭川行きは名寄→旭川間は1時間34分運転であるが、これも所要時間を短縮する可能性が高い。いや、むしろ所要時間が短縮しなければ1本前の先述した普通旭川行きの1時間30分運転より遅くなることから、普通列車より遅い快速列車となってしまう。
このほか旭川10時33分発普通比布行きと比布11時52分発普通旭川行きは廃止することとなった。
4. 結び
今回の2021年3月JR北海道ダイヤ改正では、廃駅と新型車両H100形への置き換えにより宗谷本線普通列車で高速化を図ることとなり、ほぼ全面的にダイヤ改正することとなった。
今後JR北海道宗谷本線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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