H100形集中投入で特快きたみと快速なよろに進出か! JR北海道旭川支社ダイヤ改正予測(2021年3月予定)

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JR北海道は2019年9月11日、プレスリリースにて新型普通気動車H100形を2020年度~2021年度に60両投入すると公表した( H100 形電気式気動車(DECMO)の投入線区について )。今回はこれから2021年3月実施予定のJR北海道ダイヤ改正について見ていく。

2021年3月ダイヤ改正予測一覧はこちら!

1. 宗谷本線で大幅に駅廃止で所要時間短縮へ

今回の2021年3月JR北海道ダイヤ改正では、宗谷本線を中心に大幅な駅廃止を行う。

そもそもJR北海道では2016年3月26日ダイヤ改正で全道で10駅の同時廃止を行い、その後も毎年のように数駅ずつ廃止していったが、何故か旭川支社管内だけ2016年3月26日に石北本線の4駅を廃止したっきり1駅たりとも路線廃止を伴わない廃駅を行わなかった。

もっとも、既に路線ごと廃止しようとしている留萌本線は廃止前にわざわざ駅を個別に廃止するなどの煩わしいことは行わないので今のところ廃線を伴わない廃駅がないのははわかるし、JR北海道では2016年の路線見直し当初400人/日・往復以上の線区は自治体の支援を受けることで残すとしていたにもかかわらずその後宗谷本線も名寄~稚内間の輸送密度が352人/日・往復にまで下がり宗谷本線名寄以北の存続自体が危ぶまれたため廃駅を行ってこなかったが、今回の宗谷本線の大量の廃駅が内定したことで事実上宗谷本線は旭川から稚内まで存続が内定したと言っても過言ではない

2021年3月で廃止となる見込みの宗谷本線の駅は、南比布、北比布、東六線、北剣淵、下士別、北星、南美深、紋穂内、豊清水、安牛、上幌延、抜海の12駅で、宗谷本線全53駅中22.6%を廃止する大量リストラとなる見込みだ。もっともこれらの駅はあくまで内定したものだけであって、これ以上に廃駅が発生する可能性はある。

なお恩根内は廃止する予定だったようだが、のちに美深町が維持費用を捻出することが内定し存続する見込みのようだ。

とはいえ、廃止する駅は全て1日平均利用者数が3人以下の駅であり、利用ベースからしたらそこまで多くはないし、特急停車駅は当然含まれていない。減便の可能性は低いし、それに伴う運用数の減少もないだろう。




とはいえここまでは廃止になると、停車時間を削減できることから初列車繰り下げや終列車繰り上げによる合理化を行うことができる。また今回の廃駅に限らず、気動車は停止状態から制限速度まで加速する際に一番労力を使うため、停車する駅数を減らせば省エネになるほか、台車負担も減らすことができ車両の長寿命化につながる。

では廃駅により宗谷本線で初列車や終列車はどのように変化するのだろうか。1駅通過すれば1分所要時間を短縮できるとすると、名寄5時50分発普通旭川行きは名寄5時51分発に1分繰り下げられそうだし、旭川6時03分発普通稚内行きは旭川6時05分発に2分繰り下げられそうだ。また音威子府6時33分発快速なよろ2号旭川行きは音威子府6時37分発に4分繰り下がることができるほか、稚内5時20分発普通旭川行きは稚内5時25分発に5分繰り下げ、音威子府5時33分発普通稚内行きは音威子府5時35分発に2分繰り下げることができる。これにより列車の運転時間縮小や駅営業時間短縮により経費節減を図ることができる。

まあ快速なよろは通過駅が12~13から7~8に減りはするが、そこそこ通過はあるのでまだ快速としての速達の優位性は保てそうな気はするが。ただ差異がだんだんなくなっていったという理由で短距離運転の普通列車と統合する可能性は否定できない。

このほかに石北本線東雲及び釧網本線南斜里も廃止となる見込みだ。




2. H100形旭川集中投入で所要時間短縮へ!

JR北海道ではH100形を順次導入している。全道でキハ40系列の置き換えのために投入しているが、起動加速度が向上しているため所要時間短縮が図られる。2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正より全道で初めてH100形の営業運転を開始した函館本線長万部~小樽間ではキハ201系以外の運用で概ね1~2分所要時間を短縮している。

2020年度~2021年度に60両を導入するとしているが、単純計算で2で割れば2020年度に30両投入する見込みとしており、既に本年度だけ8月までにで19両を製造しておりうち12両が旭川運転所に運ばれている。

ちなみに旭川運転所所属の運用中のキハ40系列、キハ54形、キハ150形の総数は64両となっている。うち2両は留萌本線運用で路線自体廃止を視野に入れていることから車両の置き換えは考えにくく、置き換え対象は62両ということになりそうだ。またH100形に統一してしまえばメンテナンスが大幅に合理化されることも相まって予備車の共通化も行うことができる。そう考えると60両あれば旭川運転所所属の普通気動車をH100形でほぼ置き換えることができる見込みだ

旭川運転所の車両は富良野線や石北本線、宗谷本線などで運用する。このことことから旭川運転所所属の普通気動車をH100形でほぼ置き換えることは即ち宗谷本線快速なよろや石北本線特別快速きたみをH100形で運転する日が近いということだ。もっとも2021年3月ダイヤ改正に確実になる保証はないし、いきなり極寒地の宗谷本線音威子府~稚内間に投入するとも思えないので旭川近郊を中心に運用するのだろうが、宗谷本線快速なよろは北は音威子府までしか乗り入れないし石北本線特快きたみは転属してきたキハ150形が率先して運用に就いているため比較的可能性は高いと言えそうだ。H100形の旭川運転所への投入が続けばおのずと2022年3月ダイヤ改正までに富良野線や石北本線、宗谷本線の普通列車・快速列車はH100形運用に置き換わるはずだ。

とはいえ旭川駅にキハ40系列が乗り入れなくなるわけではなさそうだ。函館本線札幌6時00分発普通旭川行き及び旭川10時34分発普通滝川行きは苗穂運転所所属のキハ40系列による運転なので、旭川運転所からキハ40系列が消滅しても当分の間は置き換えられないだろう。




2.1. H100形置き換えでキハ54形とキハ150形を釧路に転属か

では置き換えられる車両はどうなるのだろう。キハ40系列は廃車か海外譲渡で決まりだろうが、キハ54形は2022年3月のH100形の旭川運転所配置完了に伴い14両中留萌本線運用分2両と予備車1両を除く11両が余る。キハ54形は既に運用のある釧路運輸車両所に転属させればメンテナンスの手間取らずに済みそうだ。そして釧路運輸車両所配置のキハ40系列を廃車か海外譲渡にするのだろう。

キハ150形は2020年3月14日ダイヤ改正で苗穂運転所所属の7本のうち5本が旭川運転所に移動した。なぜ7本中2本を残したのは謎なのだが(その分キハ40系列を追い出せばいいのに)、結果旭川運転所に15本配置している。

旭川運転所に移籍したのは既に富良野線でキハ150形の運用があり点検が容易にできたこと、H100形が入るまでは車両繰りがままならなくなることからとりあえず移動させたのだろう。

ではH100形の投入に伴いキハ150形はどのように移動するのか。1つは苫小牧運転所のキハ40系列19両を置き換えるために苫小牧に転属させる説。苫小牧には既にキハ150形がいるためメンテナンスは容易にできる。

もう1つが函館運輸所のキハ40系列15両を置き換えるために函館に移動する説。ただ函館運輸所の普通気動車は2031年3月北海道新幹線札幌延伸に伴う並行在来線分離により全車が道南いさりび鉄道に移動することが決まっている。2016年3月26日の江差線移管時にはキハ40系列9両を移管したが2031年にはキハ40系列は概ね製造後50年を迎えており日本国内からほぼ姿を消しているはずだ。というか道南いさりび鉄道も10年以内に車両置き換えしたいだろう。

また同時に道南いさりび鉄道に移管する函館本線小樽~長万部間では前回の2020年3月14日ダイヤ改正でキハ40系列とキハ150形を新型車両H100形に置き換えた。気動車の法定耐用年数は10年なので新造後10年経てば譲渡しても損失として計上せずに済む。このことから将来道南いさりび鉄道に配置する目的でH100形を函館本線長万部~小樽間に投入していたと思っていたのだが。

あと考えられるのは、キハ54形同様キハ150形も釧路運輸車両所に転属させること。キハ150形はかつて根室本線快速狩勝のうち旭川発着の1往復が帯広まで乗り入れていたので十勝総合振興局内の根室本線新得~厚内間の運用であれば可能だろう。2020年現在キハ40系列の運用は東は釧路まであるが、キハ54形の転属により釧路総合振興局管内の普通気動車はキハ54形に統一することは可能だ。そう考えるとキハ150形は十勝総合振興局管内のみで活躍させることが可能となる。現在釧路運輸車両所のキハ40系列は26両で、うち11両がキハ54形によって置き換え残り15両をキハ150形で置き換えればちょうどピッタリではないか。

つまりJR北海道が2022年に思い描いている普通気動車の配置は以下のようになるのだろう。

  • 旭川運転所:H100形60両、キハ54形(留萌本線専用・廃線前提)3両
  • 釧路運輸車両所:キハ150形15両、キハ54形25両

そうなると、キハ40系列が道南・道央に集中することとなる。まあ極寒地の道東・道北を避けてきた編成を残すことで極力H100形への置き換え時期をずらしたいというのはあるのだろうが、そうなると2031年までに北海道新幹線札幌延伸向けの新幹線新車と並行在来線分離に伴う道南いさりび鉄道譲渡向けの車両譲渡向け新車(H100形)と製造後50年経とうとしている道央のキハ40系列の置き換えと極寒地に耐え抜いた製造後40年以上経過するキハ54形の置き換えを同時にやらなくてはならなくなるのだが。そう考えると行き当たりばったり過ぎて怖い。

なお特急「オホーツク」は製造から30年以上経ったキハ183系を使い続ける気満々だ。2023年3月ダイヤ改正までに特急「北斗」からキハ281系の運用が無くなりキハ261系に統一するというのに。お情け程度に2020年10月にキハ261系50000番台はまなす編成が2往復だけ初定期列車運用として代走してくれるようだが、もはや2031年3月ダイヤ改正で北海道新幹線が札幌に延伸して特急「北斗」の運転区間が縮小し運用数が減るまで特急「オホーツク」はキハ183系を延々と使い続けるのだろう。


3. 結び

今回の2021年3月JR北海道旭川支社ダイヤ改正では、宗谷本線を中心に駅の廃止が進み所要時間の短縮を図る見込みのほか、普通列車用に新型車両H100形を投入する見込みだ。

今後車両置き換えに合わせてJR北海道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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