JR北海道は2019年12月13日、プレスリリースにて2020年3月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち普通列車について見ていく。
同日実施のJR北海道ダイヤ改正のうち特急列車についてはこちら!
1. 千歳線快速エアポート増発へ
今回の2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正では、千歳線で増発を行う。
増発するのは千歳線快速エアポートで、ほぼ終日に渡り毎時4本の運転から毎時5本の運転に増発する。
これにより札幌~新千歳空港間では快速エアポートがほぼ終日に渡りきれいに15分間隔で運転していたが、今回のダイヤ改正より新札幌や北広島では概ね10~14分間隔とバラつきが出るようになってしまった。また南千歳~新千歳空港間が単線であることから列車の運転整理のために新千歳空港発着ではきれいに12分間隔としているが、札幌発着の運転間隔が合わないため、快速エアポートの札幌~新千歳空港間の所要時間が昼間全便37分から37~39分に延びてしまった。37分運転の列車が毎時4本から新千歳空港行き毎時1本と札幌行き毎時2本のみになってしまったことは悪化したと言わざるを得ないだろう。
ただ、増発の根拠である新千歳空港発着利用は新型コロナウイルス感染拡大による影響により激減し少なくとも新千歳空港発着利用だけでも3月以降は半減してしまっている。JR北海道管内では特急列車は定期列車も含め減便しているが、快速エアポートは新千歳空港発着利用もいるとは言えあくまで多いのは空港発着以外の利用であることから、減便に踏み切れなかったのだろう。
せめて今回の増発にメリットがあったと言うのであれば、室蘭本線特急「北斗」や石勝線特急「とかち」は概ね札幌から乗るより南千歳から乗った方が特急料金が安くなることから、千歳線快速エアポートの増発により南千歳での乗り換え時間が短縮し、特急料金を節約しやすくなったということくらいだろう。
なお小樽発着は毎時2本のまま変わりはない。これまでは均等15分間隔のうち半分が小樽に乗り入れていたことから小樽発着でも均等30分間隔での運転であったが、今回のダイヤ改正で千歳線内で毎時4本から毎時5本に増発したことに伴い毎時2本を引き出す場合均等な30分間隔とすることができず、25~35分間隔とバラつきが出るようになってしまった。
1.1. 千歳線快速エアポートの運転時間拡大へ
また今回の2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正では、千歳線快速エアポートの運転時間を拡大する。
これまで札幌から新千歳空港への初電は札幌6時02分発普通新千歳空港行きであったが、今回のダイヤ改正より手稲始発の札幌から快速エアポート50号新千歳空港行きを増発することにより、初電が札幌発では6時02分発から5時50分発に12分繰り上がり、新千歳空港着は6時51分から6時28分に23分繰り上がった。
これにより白石、北広島、恵庭、千歳の各駅から快速エアポート50号利用で南千歳で特急「北斗2号」函館行きを利用できるようになった。また苫小牧から新千歳空港への一番列車の時刻も繰り上がり、苫小牧6時27分発の普通小樽行き利用で南千歳連絡から苫小牧6時02分発普通札幌行きに25分繰り上がった。
また早朝の札幌行きも快速エアポートも増発する。増発するのは新千歳空港6時39分発快速エアポート61号札幌行きとなっており、白石にも停車する。これによりこれまで新千歳空港から札幌への初電は新千歳空港6時56分発普通小樽行きから新千歳空港6時39分発快速エアポート61号札幌行きに17分繰り上がり、札幌到着は7時47分から7時19分に28分繰り上がった。
1.2. 千歳線エアポートに特別快速設定へ
また今回の2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正では、千歳線に特別快速を設定する。
特別快速エアポートを設定するのは朝の新千歳空港行きと夜間の札幌行きの各2本となっている。特別快速エアポートは札幌~新千歳空港間の運転で、途中停車駅は新札幌と南千歳のみとなっている。この時間帯の快速エアポートは白石にも停車するが、特別快速は札幌市内である白石を通過する。
完全に札幌市内と空港利用に特化した停車駅となっているが、訪日外国人が増え(少なくとも2019年までは)新千歳空港利用者数が増えたとはいえ快速エアポートの利用者の6割程度は新千歳空港を利用しない千歳線沿線住民であり、通勤時間帯の通勤ラッシュ方向で特別快速なんて運転されたらたまったものではない。
このほか、千歳線普通列車は減便はしていないが、札幌方面行きは白石で快速エアポートの通過待ちを行うことが増えているようだ。快速エアポート自体が増発したため北広島・新札幌→札幌間の先着列車が減っているわけではなくむしろ快速エアポートの増発により平均所要時間は短縮しているが、上野幌利用者には札幌へ行くために新札幌での乗り換えを強いる形になってしまっているし、ただでさえ函館線のホームがない平和は札幌への所要時間がかえって伸びてしまった。
また今回のダイヤ改正では、千歳線の早朝の列車も改善している。千歳6時03分発普通札幌行きを苫小牧5時40分発普通札幌行きに延長し、苫小牧→千歳間で初電を24分繰り上げ、札幌到着時刻も7時11分から6時46分に25分繰り上がった。
さらに千歳発着の石勝線普通列車も最大5分運転時刻を変更している。
なお今回のダイヤ改正より千歳線快速エアポートの南千歳での平面交差をなくし、逆走することなく方向別ホームに到着することとなった。これにより新千歳空港と苫小牧・帯広方面に向かうにはこれまでは南千歳で同じホームで向かい側の列車に乗れば良かったが、今回のダイヤ改正より乗り換えの際にはコンコースを経由しなくてはならなくなり、乗り換え時間がかかるようになる。
JTB時刻表では2020年3月号より千歳線を単独で掲載するようになり(室蘭本線苫小牧~室蘭・長万部間には特急列車のみ千歳線内発着時刻を掲載)、新千歳空港から南千歳乗り換えで苫小牧・函館・帯広方面の列車に乗り換えられるかがひと目で分かるようになった。
2. 函館線区間快速いしかりライナー廃止と減便へ
今回の2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正では、函館線区間快速いしかりライナーを廃止する。
なお区間快速いしかりライナーは通過運転区間である札幌~江別間及び札幌~手稲間で昼間のみ毎時2本の運転を行っているが、今回のダイヤ改正よりうち毎時1本は普通列車に格下げになったものの残る毎時1本はそのまま廃止となった。つまり、区間快速停車駅では昼間毎時1本の乗車チャンス向上があったが、区間快速停車駅では昼間毎時1本の減便が行われた。なお、全ての区間快速いしかりライナーが各駅に停車する区間での昼間の減便はない。
このほか、札幌都市圏では初電の繰り上げも行っている。
函館線では江別5時39分発普通札幌行き初電を江別5時34分発に繰り上げた。これにより先述した手稲5時30分発千歳線快速エアポート50号新千歳空港行き一番列車に白石で連絡できるようになるほか、この快速エアポート50号を使って南千歳連絡で室蘭本線特急「北斗2号」函館行きにも連絡できるようになった。
一応この江別発札幌行き一番列車は札幌に5時58分に到着するため、札幌6時00分発特急「北斗2号」に乗り継げそうではあるが、2番線から4番線へホーム移動があるため確実に乗継したい人は白石と南千歳で乗り継いだ方がいいだろう。
また手稲5時35分発普通新千歳空港行きを手稲5時30分発普通新千歳空港行き(札幌より快速エアポート)に繰り上げたことによりより、函館線手稲→札幌間で5分初電繰り上げを実施した。
しかし札幌6時00分発特急「北斗2号」新函館北斗行きや、札幌6時00分発函館線普通旭川行き気動車への連絡列車が5分繰り上がることになり、利便性が必ずしも上がったとは言えなさそうだ。
しかもこの手稲始発の快速エアポート、初電なためか札幌で5分も停車する。特に5分繰り上げても札幌で接続する列車はないので、札幌での停車時間を2分、せめて3分に短縮して、所要時間短縮と手稲〜桑園間の各駅の営業時間の拡大を極力防ごうとは思わなかったのだろうか。
3. 新車導入で特別快速きたみも車両置き換えへ!
今回の2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正では、札幌都市圏以外でもダイヤ改正を行なっている。
今回のダイヤ改正では函館本線長万部〜小樽間に新型車両H100形を導入し、キハ40系列とキハ150形を置き換えた。
これにより長万部6時00分発普通小樽行きは長万部6時05分発に繰り上がった。
この置き換えによりキハ40系列は置き換え分を廃車、キハ150形は旭川運転所に転属した。
この車両転属により、石北本線特別快速きたみがキハ54形からキハ150形に置き換わり、北見や網走にも定期的に入線するようになった。
ちなみに、石北本線で金曜と日曜に運転している旭川20時01分発快速北見行きは、2020年2月末をもって運転を終了した。
このほか、根室本線古瀬と釧網本線南弟子屈の2駅を廃止した。
このこともあってかJTB時刻表では時刻表本文にて同一ページながらも根室本線を釧路で分け、石勝線・根室本線・富良野線を上下合わせて4ページで収めることとした。今後根室本線富良野〜新得間が廃止になれば路線のつながりを意識する必要がなくなるので、根室本線滝川〜富良野間がページ下部に移り、再び石勝線・根室本線の札幌〜南千歳〜新得〜帯広〜釧路〜根室間を同じ表で見られるようになるのだろう。
なおJR北海道では留萌本線の廃止に向け、沿線4市町に協議会を開催するよう働きかけているが、留萌市以外の3市町が断固反対しているようだ。
もし留萌市内区間の峠下~留萌間だけでも廃止できれば、峠下を1面1線にすることができ留萌本線を完全棒線化でき1運用減らせることから、それだけでも一定の効果があるのではないだろうか。
このほか学研都市線石狩太美や石狩当別は自治体の意向に沿わず現在の駅名を継続するほか、札沼線非電化区間では葬式鉄向けの増発は行われなかった。実際北海道全域に一時期緊急事態宣言が出ていたほどなので、生活に必要不可欠とは言えない葬式鉄向けの列車の増発を行わなかったのはある意味合理的ではなかっただろうか。
4. 結び
今回の2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正では、千歳線快速エアポートの増発や函館線区間快速いしかりライナーの廃止など、札幌都市圏の輸送形態が大きく変わった。
今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
コメント
峠下駅は留萌市中心街から22kmも離れた山奥で、周りに何もないような秘境駅同然の立地ですよ?
石狩沼田~留萌間の途中駅での乗車人数の平均は全て3名以下なので、中途半端に残す意味もありません。
実際、留萌~増毛間廃止前に乗った平日昼は乗降客もなく、全線通してもほとんど人が乗ってなかったですし。
どうしても区間廃止で1運用で賄えるようにしたいなら、乗降客数が多少多めの石狩沼田駅までが限界でしょう。
石狩沼田ではなく峠下としたのは、国道233号沿いであり旭川~深川~留萌間の沿岸バスなどの快速バスがあり、秩父別・石狩沼田などから留萌への連絡も考慮したためです。
また留萌市を除く3市町が反対している以上、少なくとも滝川~恵比島間の廃止は現時点では実質不可能です。
これは石狩沼田止まりや恵比島止まりでは行うことはできません。