JR東日本は7月7日、プレスリリースにて2017年10月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2017年10月ダイヤ改正について )。今回はこのうち上野東京ラインに関連する常磐線・東海道線・高崎線の料金不要列車について見ていく。
同日実施予定の常磐線特急「ひたち」「ときわ」及び水郡線ダイヤ改正についてはこちら!
1. 常磐線品川乗り入れ大幅増強
今回の大きな目玉は、常磐線中距離電車(青い快速)の東京・品川乗り入れが大幅増強されたことだ。
これまでは朝晩は取手または成田発着の常磐線快速電車(緑の快速)のみが15両で品川まで乗り入れており、15両の常磐線特別快速と15両または10両の常磐線中距離電車(青い快速)は昼間のみの乗り入れであったが、今回2017年10月14日のダイヤ改正により朝晩も常磐線中距離電車(青い快速)が乗り入れることにより、平日・土休日問わず取手以北の常磐線各駅へ品川・東京から終日乗り換えなしで行けるようになった。
同日公表のJR東日本水戸支社のプレスリリースによれば、今回のダイヤ改正により常磐線中距離電車(青い快速)の品川乗り入れが17往復から下り(土浦・水戸方面)は31本、上り(品川方面)は33本となり、88%増となった。上野に乗り入れる中距離電車(青い快速)全体ではこれまでは品川乗り入れは25%に過ぎなかったが、今回のダイヤ改正以降は48%にまで増え、ほぼ2本に1本が直通することとなった。この本数はつくばエクスプレスの平日運転される快速および通勤快速(下り31本・上り27本)の本数とほぼ同等であり、競争力が増したのは間違いないものと思われる。
それでは次の節から、各時間帯についてみていく。
1.1. 朝ラッシュ時は中距離電車が純増
今回の増便では、常磐線中距離電車(青い快速)が品川まで乗り入れることになる。
JR東日本水戸支社のプレスリリースによると、現状では朝の常磐線上り列車の品川乗り入れは最大毎時5本の緑の快速電車のみであったが、今回のダイヤ改正で常磐線中距離電車(青い快速)も最大毎時4本品川まで乗り入れることとなった。これにより朝ピーク時の快速(青・緑とも)毎時19本中品川乗り入れが5本から9本に増え、80%増となり利便性が向上した。
また、常磐線快速の品川乗り入れ開始時刻も大幅に繰り上がることになる。これまで上り列車(品川方面)は平日は品川8時12分着、土休日は品川8時10分着の成田発常磐線緑の快速が品川乗り入れ列車の1番列車であったが、今回のダイヤ改正により品川6時43分着勝田発常磐線中距離電車(青い快速)が1番列車となり、1時間20分以上繰り上げられることとなった。また下り(取手・土浦方面)の品川始発の常磐線列車も開始時刻が繰り上がり、平日は品川9時31分発、土休日は9時34分発の中距離電車(青い快速)水戸行きが1番列車であったが、こちらも今回のダイヤ改正により品川6時35分発の中距離電車(青い快速)勝田行きとなり、3時間近く繰り上げられることとなった。
しかし、上り(品川方面)の品川乗り入れが増えると、上野駅構内の平面交差の関係で朝ラッシュ時は品川始発の常磐線を運行することが難しい。今回のダイヤ改正後も品川始発の常磐線列車は6時35分発、7時22分発の次は2時間以上空いた9時31分発である。そのためこの間に常磐線から到着した快速列車は品川駅およびその周辺の留置線などで待機しなくてはならなくなる。これまでは朝の常磐線中距離電車(青い快速)は上野発着であったため、折り返して土浦・水戸方面上り列車として運行できたが、今回のダイヤ改正でそれができなくなった。そのため、朝上野発7時台・8時台の列車2本が削減されるに至り、上野7時30分~8時30分発の下り列車(取手・土浦方面)は13本から11本へ削減された。2015年の上野東京ライン開業前は18本あったことからも、上り朝ラッシュに比べればはるかに空いているものの常磐線下りの朝ラッシュ時の着席はさらに難しくなるものと思われる。
1.2. 昼間は増結のみで増便ならず
常磐線の昼間に関しては、ダイヤの上ではほとんど変更はない。現状では15両の特別快速と15両または10両の中距離電車(青い快速)がそれぞれ毎時1本乗り入れているが、JR東日本水戸支社のプレスリリースによれば品川に乗り入れる常磐線中距離列車は15両に統一される。
そのため昼間10両で運行されている一部の品川発着の常磐線中距離電車(青い快速)は全て15両となり、輸送力が増強されることとなった。2017年6月30日に立てた予測記事では昼間も増強するのではないかと予想していたが、増発はラッシュ時のみで昼間は増結のみにとどめたようだ。
1.3. 夕ラッシュ時は総じて増便
夕ラッシュ時についても今回は増発がなされている。夕ラッシュ時はこれまで常磐線快速電車(緑の快速)の毎時3本の乗り入れだったが、今回2017年10月14日のダイヤ改正から常磐線中距離電車(青い快速)も乗り入れることとなり、中距離電車と緑の快速が毎時2本ずつの合計毎時4本となった。
常磐線中距離電車(青い快速)には2階建てグリーン車を連結するため、緑の快速と比べると1編成当たりの定員が減ってしまうので、その分は増発という形で補おうとしたのであろう。また緑の快速のうち毎時1本は成田線直通としたことで、品川発成田線直通快速が3本から6本へと倍増することとなった。これにより昼夕輸送力比(適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は55.6%程度から50%にまで下がることとなったが、昼間は引き続き全員が座ることは難しくなるが、全時間帯で増便しているため様子見が必要だろう。
また、朝同様夜間も品川発常磐線直通列車の繰り下げがある。従来は平日・土休日とも品川22時50分発・東京22時59分発の緑の快速取手行きが品川発常磐線直通列車の最終であったが、5分程度繰り下がり品川22時55分発・東京23時04分発の青い快速勝田行きが常磐線直通最終列車となった。これにより東京駅23時台発の常磐線列車が設定されることとなった。
2. E233系付属編成増備で東海道線・高崎線で朝夕に増結
今回の2017年10月14日のダイヤ改正では、E233系付属編成(5両編成)2本増備に伴い、朝夕に増結される。
東海道線では朝ラッシュ時に1本残っていた10両で運行する列車を15両に増結することにより、東京9時50分着までの東海道線の全列車(ライナー除く)が15両化されることにより、混雑が緩和されることとなった。
また高崎線では朝ラッシュ時に1本残っていた10両で運行する列車を15両に増結することにより、東京7時18分~9時41分着の全列車が15両化されることとなり、混雑が緩和されることとなった。また高崎線では上野21時台発の列車1本を10両から15両に増結し、17時30分以降に東京・上野を出発する上野東京ライン・東海道線から直通する全ての高崎線列車が15両編成に統一された(通勤快速を中心に上野始発列車には10両編成が多く残る)。
3. 結び
今回2017年10月14日改正では、2004年10月16日の湘南新宿ライン大増発以来の近年まれに見る3月以外での首都圏でのJR在来線ダイヤ改正が盛り込まれた。今回のダイヤ改正で常磐線の東京・品川直通列車が全時間帯に増発・増結したということは、当初の需要想定よりも上回っていたということではないだろうか。今後昼間と夕ラッシュ時にも増発がなされるのか、近くを走るつくばエクスプレスが対策をとるのか、注目していきたい。
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