JR西日本は7月24日、おおさか東線を2019年春に新大阪まで延伸開業させることから新駅4駅の名称を決定した( おおさか東線全線開業に向けて 新大阪-放出駅間 新駅の駅名の決定について )。今回はこれから、おおさか東線開業後のダイヤついて見ていく。
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1. おおさか東線新大阪延伸へ
2019年3月実施予定のJR西日本ダイヤ改正では、おおさか東線新大阪~放出間(11.1kmの予定)が開業する。
このうち鴫野~放出間は学研都市線(片町線)が既に走行しており、学研都市線の線増扱いになるものと思われる。開業する新駅は南吹田、JR淡路、城北公園通、JR野江の4駅で、JR淡路駅は阪急淡路駅と、JR野江駅は京阪野江駅やOsaka Metro野江内代駅と連絡する予定だ。
しかし、線形をみると新大阪~南吹田までの2.0kmは、放出や久宝寺と逆方向の北向きに線路を進めている。これはおおさか東線自体が片町線の支線である城東貨物線を旅客化したためであり、城東貨物線が貨物列車の走行に配慮し東海道本線吹田~関西本線平野を結んでいるのに対し、JR西日本が旅客化するにあたり新大阪と学研都市線・大和路線方面を接続させたいことから、新規建設区間ができるだけ最小限になるよう衣摺加美北~久宝寺間と新大阪~JR淡路間で新規建設することとした。このため城北公園通付近から新大阪まで直線で結ぶことができず、大きく北に迂回することとなった。これによりまるでJR東日本の常磐線が日本鉄道時代に貨物列車を考慮して田端発着にしたが、旅客輸送をその後考えるようになり三河島から大きくカーブして日暮里・上野に入線するようになったにと同様、大きく遠回りすることとなった。
ただ、新大阪~南吹田間はほぼJR京都線と並走しているが、なぜ南吹田にJR京都線の駅を設置したり東淀川駅におおさか東線の駅を設置しないのか。南吹田に関してはJR京都線と分岐して約300mほど過ぎており、おおさか東線南吹田駅がJR京都線からそのまま300m五度離れてしまっているためにJR京都線に駅が設置できないのはやむなしであるとも思われる。
2008年3月15日の部分開業時に設置された新加美駅は大和路線から分岐して200m程であったが、大和路線加美駅から距離にして90m、道のりにして150mしか離れておらず、カーブも城東貨物線平野方面並みの曲率にすればおおさか東線加美駅として設置できたのではないかとも思われる立地であるが、これはおおさか東線南区間に特定都区市内制度における大阪市内の駅を入れてしまうと、その内側の駅(高井田中央~JR長瀬(当時))の各駅も大阪市内に入れなければならず、新幹線との接続を考えた時にきっぷの値段が同額か安くなってしまい、減収することが見込まれたためではないかと思われる。そのため、大和路線加美駅とは別におおさか東線新加美駅を設置することとなったようだ。
そしてもう1つがなぜおおさか東線に東淀川駅を設置しなかったのか。そもそも東淀川駅は乗車人員8,268人/日とJR京都線の駅としては少なく(JR京都線の快速通過駅でも乗車人員20,000人/日以上はザラである)、JR京都線普通電車の昼間及び平日夕ラッシュ時毎時8本で十分なこと、おおさか東線が開業したところで既に新大阪駅にはすぐ向かえることなどが挙げられる。近隣の地下鉄御堂筋線東三国の半分にかしかいないのはそれはそれで気になるが、東淀川の利用者数が少ないことには変わりない。
またおおさか東線に東淀川駅を設置すると、JRとしてはさらなる弊害が生じる。もし設置すると、新快速やJR京都線快速は東淀川に停車しないだろうから分岐点通過列車に対する区間乗車として東淀川~新大阪間を設定しなければならない。しかもこれを設定すると、東海道新幹線からおおさか東線を利用する際に、東海道新幹線が在来線の東海道本線、すなわちこの区間ではJR京都線として営業キロを扱われることから、新大阪経由ではなく東淀川経由で算定されてしまう。すると新大阪~東淀川間0.7km×2=1.4km分営業キロが減少することのみならず、東海道新幹線はJR西日本ではなくJR東海の管轄であることから、きっぷの計算上他社の減収をも引き起こすことになる。そんな大迷惑なことをJR西日本が行えるはずもなく、東淀川を設置しないこととしたようだ。このため、今回の開業では新大阪~鴫野の営業キロは僅か200mしか縮まらず、2008年3月15日のおおさか東線南区間開業時の京橋~久宝寺間1.2km短縮よりも小規模になっている。
ただ、今回の新駅は南吹田を除き全て大阪市内に設置され、鴫野・放出が大阪市内であることから過去の事例を見るに南吹田を含め今回開業する新駅4駅は全て特定都区市内制度における大阪市内に属すると思われるが、駅名標のイメージを見る限り【阪】の文字がない。ともなると増収を図るためにあえて大阪市内に指定しない可能性が少なからずあり、もはや大阪市内を大阪環状線内(電車特定区間における環状線内運賃適用区間のみ有効)に変更する可能性もなきにしにあらずだ。どのように設定されるかは見ものだと思われる。
また、おおさか東線開業に合わせ新大阪駅ではホーム移設を伴う大規模な駅改修工事が行われ4面8線から5面10線に拡大したほか、既存の11番のりば~18番のりばが3番のりば~10番のりばに改番、新たに設置された1番のりばは東海道本線梅田貨物線直通の阪和線特急「くろしお」「はるか」や北陸本線特急「サンダーバード」が発着し、2番のりばに2019年3月開業予定のおおさか東線が乗り入れる予定となっている。
2. 新大阪アクセスの改善はいかに
ただいくら遠回りしているからといっておおさか東線開業効果は大きい。これまで大和路線から新大阪に向かうには大和路快速で大阪まで出た後、JR京都線に階段を使って乗り換えて1駅乗る必要がった。しかし今回のおおさか東線新大阪開業により久宝寺で対面接続できるようになることから利便性が高くなる。ただし乗車時間は新大阪~久宝寺間で27分であるが、おおさか東線普通電車の所要時間は29分となる見込みで、快速列車が運転されない限り大きな時間短縮にはならないようだ。
また学研都市線に関しても大きく新大阪アクセスが向上することとなる。これまでは鴫野・放出利用で大阪市内発着の切符の場合、JR東西線北新地まで乗車し大阪駅まで徒歩連絡したのち、JR京都線に1駅乗車する形ができたが、住道や四条畷など大阪市外からの切符の場合、北新地・大阪連絡で切符を購入することができず(JR西日本に問い合わせたところ、放出での切符の分割購入を勧められるほど)、学研都市線で京橋まで乗車後、大阪環状線に乗り換えて、さらに大阪駅でJR京都線に乗り継ぐ必要があった。しかし住道から四条畷から北新地・大阪連絡の乗車券を発売できるようにする必要性はない。なぜなら今回の2019年3月ダイヤ改正でおおさか東線が開業することで放出で対面接続ができるようになり、乗り換え回数も乗り換え時間も大幅に短縮されるようになるからだ。新大阪~放出間では乗車時間は15分と変わりないが、乗り継ぎが2回から0回になることで概ね10分短縮されることとなるようだ。
3. 初終電はどうなる
では今回の2019年3月JR西日本ダイヤ改正でおおさか東線の初終電はどうなるのだろうか。現在の新大阪の初電は、JR京都線普通京都行き(大阪始発)が新大阪5時04分発、JR神戸線直通普通電車(高槻始発)が新大阪5時19分発で、平日は加古川行き、土休日は西明石行きとして運転されている。また地下鉄御堂筋線は南行きはなかもず行き(江坂始発)が新大阪5時08分発、北行きは千里中央行き(天王寺始発)が5時26分発となっている。
一方、おおさか東線の2018年現在の初電は北行きは久宝寺5時32分発普通放出行き、南行きは放出6時12分発普通久宝寺行きとなっており、環状路線であるが故かともに非常に遅い。もしこれをそのまま新大阪発着に延長すると仮定すると、久宝寺5時32分発初電は新大阪6時01分着、新大阪発普通久宝寺行きは新大阪5時58分発となる。JR京都線や地下鉄御堂筋線が大阪・梅田を中心にダイヤを考えているからとはいえ、おおさか東線の初電は遅すぎるし、新大阪6時00分発の東海道新幹線「のぞみ200号」東京行きや山陽新幹線「みずほ601号」鹿児島中央行きを利用することができない。これではさすがに新幹線との接続が取れているとはいえず、2018年5月19日~20日の学研都市線線路切り替え工事の際も意地でも新幹線接続を行っていたので、この初電はほぼ間違いなく繰り上がるだろう。
ともなると、おおさか東線の初電は新大阪6時ちょうど発の新幹線の初電に合わせるものと思われる。新大阪での新幹線とJR在来線との接続時間は10分となっていることから、おおさか東線の新大阪行き初電は新大阪5時50分着になると仮定すると、放出5時36分発、久宝寺5時21分発になる見込みだ。
すると放出では松井山手5時01分発普通塚口行きから連絡できるようになり松井山手~忍ヶ丘間の各駅から新幹線の一番列車に接続できるようになる見込みだ。また久宝寺では王寺4時36分発JR難波行きから接続できるが、久宝寺での接続時間が25分となっており、この列車はすでに天王寺・大阪連絡で新大阪発の一番列車に接続できることから、効果が限定的にも思える。すると、王寺4時36分発普通JR難波行きの初電の時刻を繰り下げるか、奈良4時50分発普通JR難波行き初電を5分繰り上げておおさか東線の初電に接続させる可能性があるのではないだろうか。なお、このおおさか東線の時刻設定では先述の久宝寺行き初電として想定される新大阪5時58分発普通久宝寺行きにそのままつなげることができ、201系6両編成が宮原電車区ではなく奈良電車区配置になることも考えても運用がつなげられるものと思われる。
一方、終電について見ていく。関西エリア私鉄の終電は、阪急は神戸本線、京都本線、宝塚本線とも梅田24時25分発、阪神は梅田24時30分発、京阪は淀屋橋24時22分発、南海は本線、高野線とも難波24時25分発、近鉄奈良線は大阪難波24時25分発、近鉄大阪線は大阪上本町24時28分発、近鉄南大阪線は大阪阿部野橋24時27分発となっている。このように私鉄の終電はターミナル駅を概ね24時20分~30分に出発するように設定されているが、この時刻は偶然ながらも新大阪23時45分着東海道新幹線「のぞみ265号」や新大阪23時37分着山陽新幹線「みずほ610号」から接続できる。
そこでおおさか東線の2018年現在の終電について見ていくと、北行きは久宝寺23時18分発普通放出行き、南行きは放出23時43分発普通久宝寺行きとなっており、環状路線であるが故かともに日付を超えないほど早い。確かに近鉄道明寺線のように柏原23時48分発道明寺23時52分着のような路線もあるが、やはり需要が見込めないということなのだろう。そこでこのおおさか東線の終電をそのまま新大阪発着に延長したとすると、北行きは久宝寺23時18分発普通新大阪行きは新大阪23時47分着、南行きは新大阪23時29分発普通久宝寺行きとなる。しかし新大阪23時29分発では先述の新幹線の最終列車から接続することができない。こちらも新幹線接続をとるものと思われるから、新大阪での接続時間を先述と同じ10分とすると、新大阪23時55分発普通久宝寺行きとして設定するものと思われる。
ともなると、放出には24時09分着、久宝寺には24時24分着になるものと思われる。すると放出では24時11分発普通松井山手行き最終列車に接続することができ、忍ヶ丘~松井山手の各駅へも新幹線の最終列車から接続できるようになることができることになる。また久宝寺では24時24分発普通奈良行き終電と接続できるようになることから、法隆寺~奈良間の各駅からでも新幹線の最終列車から連絡できるようになる見込みだ。
このように考えていくと、現在の学研都市線と大和路線のダイヤは概ねおおさか東線新大阪開業において接続ができるかどうか考えられているようにも見えるし、おおさか東線の初終電自体2008年3月15日の開業時から衣摺加美北駅開業に伴う時刻変更を除いて変更されておらず、放出発久宝寺行き初電と久宝寺発放出行き終電が新大阪発着に延長されても、新大阪で滞泊せずに新幹線の一番列車の発車や最終列車の到着にスムーズに接続できるように設定されている。
今回の予測で導き出した時刻は最大2分程度の誤差は起こるものと思われるが、それにしても初電も終電も新大阪折返し時間がともに8分となるのは偶然ではなく、必然として設定されたように思える。しかも偶然にして東海道新幹線の新大阪初終電時刻がおおさか東線放出~久宝寺間開業以前の2007年7月1日のN700系導入に伴うダイヤ改正から1分たりとも変わっていないことも、計画通りおおさか東線の初終電を設定できる一因になるかもしれない。運用の都合や2018年の時刻を考えても、2019年3月以降のおおさか東線の初終電時刻は、多少の誤差はあるものと思われるがほぼこれで決まりだろう。
4. 結び
今回の2019年3月JR西日本ダイヤ改正予測では、おおさか東線の新大阪~放出間開業により、新幹線アクセス路線が拡充されることとなった。
今後おおさか東線でどのようなダイヤが組まれるのか、楽しみにしたい。次回のJR西日本ダイヤ改正予測では、おおさか東線の快速運転について予測する。
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