JR西日本は2021年5月19日、社長会見にて2021年10月にダイヤ改正の実施し減便を検討すると公表した( 2021年5月社長会見 )。今回はこれについて見ていく。
2021年10月2日ダイヤ改正のうち岡山支社・広島支社・米子支社はこちら!
1. ダイヤ改正の前倒し実施で減便へ
今回の2021年秋実施予定のJR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、管内の広い範囲でダイヤ改正を行う。
この社長会見によれば2021年3月13日ダイヤ改正で昼間や深夜を中心にある程度減便を図ったものの、未だに不十分であることから2022年3月ダイヤ改正で管内全域で朝夕を含めた全時間帯でダイヤ改正を行うとしている。
ただJR西日本は2020年度に赤字を計上しており、経費削減を至急図る必要がある。朝夕に関しては直通区間が昼間より多く通勤客の分散も図らなくてはならないこと、設定次第では終日の運用数を減らせるため細かく修正する必要があるが、昼間は部分短縮で済むことも多い。そこで2022年3月に実施予定のダイヤ改正のうち白紙改正を伴わない一部の減便について急遽前倒しで行うことになったのが今回の2021年3月JR西日本ダイヤ改正である。
なおJR西日本では2006年頃まではJR西日本は秋に積極的にダイヤ改正を行っていたのだが、近年は微調整にとどまりほぼ時刻を変更しなかった。ただJR西日本では3月だけではなく秋にもダイヤの見直しを図る機会を設けていたことが、今回のダイヤ改正の一部前倒しにつながったのではないだろうか。
今回の2021年10月実施のJR西日本ダイヤ改正では、減便を行う。今回の運転見直し範囲は近畿エリアで6線区約60本、他エリアで10線区約70本となっている。一部報道では全列車見直しの対象に入っている区間もあるとしているが、あくまで一定の基準(JR北海道やJR九州でいう1両当たり20人に満たない列車)に該当する列車の本数を答えているだけであり、一定の基準に達しない2本統合して1本にした際に1両当たり20人を超えることになれば存続するのである。そう考えれば最大でも半減であって、見直し対象が列車の半分の路線は4分の1程度しか減便しない可能性が高い。
では各線ごとにどのように見直しを行うのか予測していこう。
2. 大和路快速昼間に一部短縮で加茂は毎時1本のみに
まず大和路線大和路快速。大阪環状線~天王寺~奈良間は昼間毎時4本のまま変わらないが、奈良~加茂間は昼間毎時2本から毎時1本に減便する。
大和路線加茂は2019年度の乗車人員が2,208人/日となっている。昼間毎時1両で4,000人/日・往復運べるとすると2019年度でも毎時1.2両あれば十分運べるし、むしろこのご時世で利用が20~30%減ったとなれば毎時1両あれば十分運べる。しかも加茂~亀山間の非電化区間の輸送密度は2019年度でも1,090人/日しかおらず、加茂での乗り継ぎ客を考慮しても木津~加茂間は毎時2両もあれば十分に足りてしまう。
そんな毎時2両しか必要でない木津~加茂間で昼間に8両編成が毎時2本も来たら空席だらけなのは間違いないし、どれだけ高く見積もっても毎時2両分しか運ぶ人がいないのであれば毎時1本に減便しても問題なかろう。
なお奈良と木津を行き来するだけなら昼間毎時6本から毎時5本に減るとはいえうち毎時4本運転の奈良線が昼間13~17分間隔で運転しているのでほぼ問題ないし、平城山から奈良線みやこ路快速が利用しにくくなったり奈良から学研都市線連絡列車が大和路快速加茂行きから10分前出発の普通京都行きに繰り上がるなどそこそこの影響はあるが、平城山は2019年度でも乗車人員1,262人/日で毎時1両停車すれば十分運べることから奈良線毎時2本が停車すれば昼間は問題なかろう。
そう考えれば今回の大和路快速の奈良~加茂間での昼間の減便は影響を受ける駅が他線区減便と比べ少ないにもかかわらず比較的大きな効果を得ることができるのだ。そう考えれば合理的な減便と言えよう。
むしろ学研都市線が同志社前~木津間で昼間の減便を図っていないのはいかがなものかと思うが。近鉄京都線との競合もあるのかもしれないが、7両編成では空席ばかりなわけだし。そもそも電化したのもJR西日本が発足してから出それまでキハ120形気動車が行き来していたことを考えれば減便を図っても致し方ない気はするが。
3. 新快速の運転区間短縮で昼間の米原行き復活へ
今回の2021年10月実施予定のJR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、琵琶湖線で昼間の減便を行う。
と言っても、今回減便するのは琵琶湖線でも米原~長浜間の北陸本線区間である。このため未だに人口が増え続けている滋賀県内でも大津~野洲間は今回は減便は行わない。
米原~長浜間には昼間は4両編成2本の運転があるが、ともに京都・大阪方面直通の新快速である。が、新快速は原則12両運転であることから、長浜方面列車を運転するためにわざわざ米原で増解結を行っている。今回の減便は増解結の手間を減らすのが目的だろう。
そう考えれば琵琶湖線の端の方の郊外区間での減便となるのだが、長浜市はこの10年で人口が減少しているとはいえ長浜駅の乗車人員は2019年度で4,381人/日いるので長浜駅だけでも昼間どんなに少なく見積もっても毎時2両の輸送力は必要不可欠(毎時2.5両程度必要なこともしばしば)、しかもその他にも駅があり長浜以北の各駅の利用者も利用することを考えると米原~長浜間は昼間毎時3両では足りず、毎時4両は必要なのだ。
先述した大和路線加茂の場合は明らかに利用が少ないし奈良~木津間で奈良線の列車で救済できるので加茂発着の大和路快速を毎時1本化にするのは致し方ないが、琵琶湖線米原~長浜間の昼間の新快速半減による毎時1本化はやや窮屈なのである。
まあ全国的に見れば琵琶湖線米原~長浜間くらいの輸送密度のJR東日本両毛線伊勢崎~小山間や東金線大網~東金間では昼間は4両編成毎時1本で座席もほぼ埋まるほどの運転をしているのでないわけではないけれども(とはいえ運用都合で前回2021年3月13日JR東日本千葉支社ダイヤ改正より東金線は昼間は6両運転に増結したが)、昼間の輸送量が毎時3両必要であれば私鉄等他の会社であれば空席が目立っても地域輸送性確保のため毎時2本は運転することが多い。
そう考えると今回の琵琶湖線米原~長浜間の昼間の毎時1本への半減はやや窮屈で、10時~15時ごろまでの5往復10本が全て短縮するとは考えにくい。2021年3月13日JR西日本岡山居支社ダイヤ改正で山陽本線岡山~三原間で昼間のうち2時間だけしれっと2往復減便し倉敷~糸崎間で2時間だけ毎時3本から毎時2本に減便したように、米原~長浜間の減便も昼間全5往復ではなく2往復~3往復程度のみになるのではないだろうか。
4. 兵庫県内山陽本線・赤穂線でも一部減便へ
今回の2021年10月実施予定のJR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、兵庫県内の山陽本線・赤穂線でも減便を図る。
今回減便を図るのは姫路~相生~上郡・播州赤穂間となっている。2020年現在この区間は昼間は姫路~播州赤穂間で毎時2本、相生~上郡間で毎時2本(うち毎時1本が岡山方面へ直通)となっており、山陽本線から姫路へ向かうには相生での乗り換えが必須となる。このほかに網干始発終着のJR神戸線快速を毎時2本運転している。
今回のダイヤ改正ではこの中から昼間の一部列車の減便を行うこととなる。2016年3月26日JR西日本ダイヤ改正で昼間の播州赤穂八茶うの新快速がなくなり減車したことを考えるとかなりの輸送力低下になる。
各駅乗車人員から類推するに、山陽本線相生~上郡間も赤穂線相生~播州赤穂間も昼間は毎時2~3両程度あれば運びきることはできる。まあ私鉄などほかの鉄道会社なら地域輸送性を考えれば毎時2本運転を継続する可能性は高いが、琵琶湖線米原~長浜間に比べれば需要は小さいので昼間は4両編成毎時1本運転のみの運転になることは十分に考えられる。
ただし網干~相生間は上郡や播州赤穂への旅客のみならず相生への旅客も運ばなくてはならない。そう考えると網干~相生間は毎時4両では到底足りず、昼間毎時6両程度は欲しい。そう考えると4両編成が基本の姫路~上郡・播州赤穂間で毎時1本のみの運転では輸送力が足りないのである。
また2020年現在昼間は山陽本線の列車は相生止めで赤穂線からの列車に乗り換えないと姫路に行けないが、平日朝夕に姫路始発終着の山陽本線列車を多数運転しているということはそれなりに需要があるのは間違いない。おかげさまで平日夕ラッシュ時は網干~相生間は毎時4本も運転があるのである。そんな中昼間に毎時1本のみの運転になるとは到底考え難い。
そうなれば赤穂線方面毎時2本を赤穂線毎時1本(姫路~播州赤穂間運転)と山陽本線毎時1本(姫路~上郡~岡山方面運転)に振り替え、有年や上郡は減便するも昼間に姫路までの直通列車を運転することで利便性を極力下げないようにするのではないだろうか(もっとも行先変更により姫路~相生間の列車を見直していることには変わりないので社長会見とは矛盾しない)。
ただ1つ気になるのは、姫路~網干間に昼間に毎時4本も必要なのかということ。もっとも網干への車庫入庫も兼ねているのだろうが、毎時3本に減らしに行く可能性はゼロではなさそうだ。
5. JR京都線・JR神戸線で普通電車減便へ
今回の2021年10月実施予定のJR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、JR京都線高槻~京都間やJR神戸線須磨~西明石間で減便を図る。
まあこの区間は新快速や快速、普通が走っているが、新快速も快速も運転区間を跨いでおり端ではないことからこの区間だけピンポイントに減便するのは非合理的である。そう考えればおのずと普通電車が減便するほかない。
ただ、停車駅の改変は昼間のみならず朝夕にも影響を及ぼし得るし、朝夕にも影響を及ぼす大規模なダイヤ改正は少なくとも近畿地方では2022年3月ダイヤ改正までお預けだ。そのため今回の2021年10月ダイヤ改正でJR京都線やJR神戸線の快速停車駅が増える可能性はまずないだろう。そう考えるとJR神戸線塩屋・朝霧への停車本数確保の観点から須磨~西明石間の普通電車が毎時4本を下回ることは今回のダイヤ改正では考えにくい。
では今回のダイヤ改正ではJR京都線やJR神戸線ではどのように減便するのか。それは昼間の普通電車の運転区間短縮時間帯を延ばすほかないのである。
2020年現在JR神戸線須磨~西明石間で7両編成の普通電車が毎時4本しか運転していないのは平日・土休日とも昼間のうち4時間のみ、JR京都線高槻~京都間で普通電車の運転が快速以外にない時間帯は平日のうち4時間、土休日のうち2時間のみである。もっとも15時以降は高校生の利用があるが、JR京都線では快速と合わせて毎時6本程度で、JR神戸線では垂水があるとはいえ毎時8本程度で十分なはずでそれ以上の本数は輸送力としては必要ないのだ。
そうなれば昼間の一部の時間帯で行っている普通電車の運転区間短縮を時間帯を拡大して行うだけでいい。しかもそれで1時間当たり4往復8本が見直し対象になるから、コスパもいい。そう考えれば今回のJR京都線・JR神戸線の減便は普通電車の運転区間短縮に尽きるのだろう。
まあ昼夕輸送力比100.0%の高槻~須磨間の普通電車が昼間毎時8本から毎時6本に減らなかっただけ今回の減便はマシだと思うが。
6. 岡山県内山陽本線で引き続き減便で快速サンライナー大幅縮小で117系順次廃車か
次に岡山県内を中心とした山陽本線。
山陽本線では前回2021年3月13日ダイヤ改正で岡山~三原間で昼間に2往復をしれっと減便し、倉敷~糸崎間では昼間のうち2時間だけ毎時3本から毎時2本に減便している。今回のダイヤ改正でさらに減便する可能性があり、毎時2本運転時間帯が拡大しそうだ。
さらに岡山県内山陽本線では前回2021年3月13日ダイヤ改正で朝夕運転の快速サンライナーのほとんどを土休日運休にしたが、平日は減便を行っていない。そう考えると今回のダイヤ改正で平日朝夕の快速サンライナーを減便し117系を一部廃車にして合理化を図りに行くのではないだろうか。
このほか、山陽本線白市~西条間で毎時4本から毎時2本に半減させる可能性が否定できないほか(さすがに昼間の瀬野行きの復活はないだろう)、北陸本線米原~長浜間でも昼間に減便することを考えると、山陽本線でも岡山~瀬戸間の昼間毎時1本を減便にかかる可能性がありそうだ。
7. 瀬戸大橋線で昼間に減便へ
また今回の2021年10月実施予定のJR西日本ダイヤ改正では、瀬戸大橋線でも減便を図る。
瀬戸大橋線の減便で真っ先に思いつくのは2018年3月17日ダイヤ改正より運転を開始した昼間の岡山~備前西市間の1往復及び岡山~茶屋町間の213系快速2往復である。ただこれらの3往復は増発時に宇野線の列車としていた。確かに瀬戸大橋線区間しか走っていないので間違ってはいないのだが、やや腑に落ちない点はある。
そうなると次に考えられるのが瀬戸大橋線の快速マリンライナーの減便。2020年5月~6月には瀬戸大橋線快速マリンライナーのうち昼間のうち早島停車の5往復を減便、昼間は毎時1本で運転していたことはある。ただ快速マリンライナーは他の快速とは異なり岡山~高松間のみならず山陽新幹線と連絡して東京・新大阪~高松間などでも都市間輸送を担っていること、全列車がJR四国と直通運転を行っていることから易々と減便できない。
もっともJR西日本は都市間輸送を担っており毎時1本を超える運転本数のある湖西線特急「サンダーバード」を一部運休し実質減便しているほか、毎時1本しか運転のない北陸本線特急「しらさぎ」も2021年5月10日より2往復を臨時化、週3日の運転としている。さらにJR四国でも2021年5月10日より予讃線特急「しおかぜ」全15往復中9往復で特急「いしづち」との増解結を取りやめ、岡山~松山間の全区間で5両編成での運転としていることや、JR四国自体も瀬戸大橋線快速マリンライナーの減便を示唆していることから快速マリンライナーの減便はありえなくはないのだが、だったら同日にJR四国からも何らかの発表があっていいはずだし、行うとすれば3月の全国一斉ダイヤ改正の方が可能性が高い。そうなると、瀬戸大橋線快速マリンライナーの減便は今後あり得るが、今回の2021年10月実施予定のダイヤ改正ではなさそうだ。
そう考えると、岡山~児島間運転の普通電車毎時1本のうち2時間に1本程度を茶屋町~児島間で運休するのではないだろうか。茶屋町~児島間の快速通過駅は3駅とも乗車人員が500人/日に満たず、正直毎時1本も必要ない。またかつてJR四国と行っていた丸亀方面観音寺・琴平方面への直通は取りやめていることから、JR西日本だけの都合で減便できる。そうなれば茶屋町~児島間の普通電車を減便する可能性はありそうだ。
8. 和歌山県内でも昼間の減便実施へ
また今回の2021年10月実施予定のJR西日本ダイヤ改正では、和歌山県内でも減便を行う。
今回減便の対象としているのは紀勢本線(きのくに線)と和歌山線である。きのくに線と記載していることを考えると、JR西日本管内できのくに線と通称していない紀勢本線和歌山市~和歌山間は今回の減便から外れそうだ。
ではどのように減便するのだろうか。和歌山線では2019年9月30日に全列車を227系2両編成に置き換えている。これにより元103系の105系4ドア車がなくなったことから1両当たりのドア数が減少、その分座席が増えている。
ただ、それ以前に昼間は岩出~粉河間は2両編成毎時1本で十分足りる。そう考えれば岩出に折返し設備を設置して岩出~粉河間を昼間毎時2本から毎時1本に削減しに行く可能性はある。
もっとも沿線の岩出市は人口が増加傾向ではあるが、このご時世で利用が2019年比で20%も減っていることを考えると和歌山~岩出間でも昼間毎時2本から毎時1本に削減する可能性は否定できない。ただ近隣を走る和歌山電鐵貴志川線が昼間毎時2本を維持していることを考えると、和歌山~岩出間でも昼間毎時1本に削減するかは微妙なところだ(もっとも今回のダイヤ改正で和歌山~岩出間で昼間の減便を行えば和歌山電鐵が貴志川線減便の口実に使えるのでメリットは多いのだろうが)。
このほか和歌山線では快速のうち平日夕ラッシュ時の運転を取りやめる可能性がある。もっとも粉河~高田間では普通電車の延長で救済するだろうが。なお平日朝ラッシュ時は速達性に優れることを踏まえるとおそらく快速の廃止はないのではないだろうか。
またきのくに線でも昼間の減便を図る可能性が高い。まず前回2021年3月13日JR西日本和歌山支社ダイヤ改正で昼間の普通電車毎時2本のうち和歌山~御坊間運転の普通電車毎時1本を和歌山~湯浅間に短縮した。ただ特急停車駅の藤並や湯浅の乗車人員が2019年度でも1,500人/日に届いていないことを考えると普通電車はたとえ2両編成でも毎時1本でも十分運べてしまう。そう考えると2019年の乗車人員1,642人/日の簑島までで十分であり、簑島~湯浅間は減便する可能性が高い。
ただ簑島も特急「くろしお」の乗車人員も含めているので、海南~簑島間でも普通電車は毎時1本あれば十分な可能性がある。もっとも海南~御坊間の利用の多い駅は特急「くろしお」停車駅だし前回の2021年3月13日ダイヤ改正で停車本数を増やしたので特急誘導ができ増収につながるし、和歌山~海南間の区間運転であれば2両編成で足りるので227系2両編成を使用し和歌山県内225系では行わないワンマン運転を行い費用節減を図る可能性も十分ある。そうなれば昼間の紀勢本線は和歌山~御坊間毎時1本と和歌山~海南間毎時1本の合計毎時2本に再編する可能性は十分ありそうだ。
このほかきのくに線では平日朝の海南始発の電車2本を廃止し快速を宮前に追加停車させ救済する可能性があるほか、平日夕ラッシュ時の快速を廃止する可能性はありそうだ。
9. 小浜線で列車半減検討も撤回・縮小可能性ありか
次に小浜線。新聞報道によれば今回の2021年10月ダイヤ改正で半減まで検討しているという。
ただ小浜線沿線は発電所が多く、運転休止中であっても国などから多額の補助金をもらっている。実際その補助金を使って小浜線を電化したり新車の125系を投入したりしている。電化後の自治体負担による新車置き換えがなかなか難しく103系などの車両を未だに使っている線区があることを考えると、いかに沿線自治体の財政に余裕があるかが分かる。
そう考えると、JR西日本としては会社設立以来赤字の小浜線の維持費用の一部を裕福な沿線市町村にしてもらいたいと思うのは当然である。そこで裕福な沿線市町村からお金を巻き上げるための材料が今回の列車減便なのではないだろうか。
そう考えると、今回小浜線の減便し半減することまで検討しているとしているが、沿線市町村の維持費拠出次第で減便本数を抑えたり減便そのものを撤回する可能性はあるのではないだろうか。
10. 山陰本線や山陰各線でも減便実施へ
また今回の2021年10月実施予定のJR西日本ダイヤ改正では、山陰本線や鳥取県内各線でも減便を図る。
そもそも鳥取県内や島根県内を管轄するJR西日本米子支社では偶然にも2020年3月14日ダイヤ改正で朝に減便を行いキハ47系6両分の運用削減を行っている。そう考えると朝の減便はあまりないのではないだろうか。
そうなると山陰本線でさらに減便するとすると、昼以降の快速とっとりライナーや快速アクアライナーと40分程度前後に走る普通列車を統合し実質快速停車駅を増やすか普通列車に格下げするほかない。そうすれば特急「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」誘導になるので増収は期待できそうだ。
このほか福知山支社でも山陰本線を減便する見込みだが、一番は輸送密度が1,000人/日・往復を割っている城崎温泉~鳥取間を含む豊岡~鳥取間の気動車列車の減便だろう。
ただ今回減便対象の境線は減便するとしても平日昼間を土休日昼間同様パターンダイヤ化して1時間間隔での運転にするくらいしかない。そう考えると境線の減便はごく小規模に収まるのではないだろうか。
11. 結び
今回の2021年10月実施予定のJR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、2022年3月に実施するはずだったダイヤ改正を急遽一部前倒しし、昼間を中心に減便することとなった。
今後JR西日本で2022年に向けどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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