JR西日本は2021年7月28日、プレスリリースにて10月2日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年秋 ダイヤ見直しについて )。今回はこのうち岡山支社・広島支社・米子支社ついて見ていく。
1. ダイヤ改正の前倒し実施で減便へ
今回の2021年10月2日JR西日本ダイヤ改正では、各エリアで普通列車の減便を図る。
そもそもJR西日本では過去に秋にダイヤ改正を行っていた関係でその名残として毎年秋に若干の修正を行っていたが、変更しても1分程度で運転本数の変更は行っていなかった(過去に大阪環状線の発車表示機の行先を環状から変更したのもこのタイミングである)。
しかしこのご時世で旅客が大幅に減ってしまったことから、2020年から伯備線特急「やくも」の運転本数半減や2021年3月13日ダイヤ改正にて広島支社を中心とした減便などの合理化を行ってきた。しかしそれだけでは間に合わなくなったため今回2021年10月2日にダイヤ改正を行うこととしたのである。
今回の2021年10月2日JR西日本ダイヤ改正では、管内の普通列車127本を見直す。内訳は京阪神エリア60本、和歌山県内14本、北近畿エリア5本、北陸方面11本、瀬戸内エリア17本、山陰地方で20本となっている。もっとも京阪神エリアはそもそも運転本数が多いので毎時1本ずつ削減すれば大きく減便を図ることができるが、その他のエリアではそもそも運転本数が毎時1本もない線区が多いことから1往復2本の減便でもかなり利便性が落ちかねない。
そのような状況の中今回のダイヤ改正でどのように減便や短縮を図るのか、見ていこう。
2. 山陽本線で快速サンライナーを減便へ
今回の2021年10月2日JR西日本岡山支社ダイヤ改正では、山陽本線で夜間に減便を図る。
今回減便するのは快速サンライナー2本とその折返しの普通列車2本である。そもそも快速サンライナーは前回の2021年3月13日JR西日本岡山支社ダイヤ改正で毎日運転列車を16本から3本に減らし13本を土休日運休としたが、今回のダイヤ改正で13本中2本を全日運休にし減便することとなった。
これにより山陽線快速サンライナーの最終は岡山19時09分発に繰り上がることとなった。
このほか山陽線では岡山24時04分発倉敷行き最終を廃止するとしている。この列車は東京20時33分発東海道山陽新幹線「のぞみ113号」岡山行から連絡できる列車であるが、2021年4月~6月に既に運休していた。このことを考えると前回2021年3月13日ダイヤ改正で廃止しても良かったのではないかとは思うが。これにより岡山から倉敷への最終は岡山24時04分発倉敷行きから岡山23時37分発伯備線備中高梁行きに27分繰り上がることとなった。
また瀬戸大橋線では金曜・土曜のみ運転の岡山23時03分発普通茶屋町行きを廃止することとなった。
さらに津山線では昼間の岡山〜金川間の区間運転列車1往復を削減するほか、深夜に岡山〜津山間で1往復削減する。これに伴う終列車繰り上げはない。
また吉備線でも朝9時台に全線で1往復削減するほか、因美線でも15時台の高校生帰宅時間帯に津山〜美作加茂間で1往復削減することとなった。
このほか山口県内では岩国~小月間にて保守間合いの確保のために昼間の1往復を毎週月曜日に運休することとなった。これにより月曜日に限り運転間隔が約2時間程度空く見込みだ。なおこの月曜運休列車は今回の見直し本数の中には入れていないようだ。
3. 芸備線の減便は備後落合~新見間の廃止のカウントダウンか!
今回の2021年10月2日JR西日本広島支社ダイヤ改正では、芸備線で運転区間短縮を行う。
今回短縮するのは三次19時32分発備後落合行きで、備後落合行きから備後庄原行きに短縮する。これにより三次や備後庄原から備後落合への最終は2時間02分繰り上がるほか、備後庄原~備後落合間は1日10本から1日9本に減便する見込みだ。
もっとも備後庄原より先はほとんど利用がないし備後落合で他の列車に接続できるわけでもないので短縮するのは当然だ。しかしこの列車が備後落合まで運転していたのは備後落合で夜間滞泊し翌朝に備後落合6時43分発三次行き初列車として折り返すためである。
ただこの備後落合始発三次行き初列車を運転しているのも新見5時18分発快速備後落合行きから連絡できるようにするためである。つまりもし検討段階に入っている芸備線備中神代〜備後落合間が廃止になれば、備後落合6時43分発三次行き初列車は備後庄原始発に短縮できる。そうなれば備後落合で夜間滞泊する必要なんてなくなり、備後庄原での夜間滞泊または回送して三次に入庫させてもいい。そう考えると今回の備後落合行き最終の廃止は今後の芸備線備中神代~備後落合間廃止を見据えて備後落合での夜間滞泊を廃止するためではないだろうか。
4. 福塩線減便で広島始発吉舎行き設定へ!
今回の2021年10月2日JR西日本広島支社ダイヤ改正では、福塩線でも減便を図る。
福塩線非電化区間では全列車が府中~三次間を通しで運転しているが、今回減便するのは府中~吉舎間の1往復となっている。これにより府中~吉舎間は1日6往復12本から5往復10本に減便することとなった。
この減便で広島5時43分発三次方面府中行き(平日は三次まで備後庄原行きを連結)が吉舎行きに短縮することとなった。これにより広島始発吉舎行きが誕生することとなった。
もっとも吉舎行きは2002年3月23日JR西日本ダイヤ改正で消滅していた。2018年に一時的に設定再開をしたが、広島始発での設定はなかった。それを踏まえると今回の広島始発吉舎行きの設定は相当珍しいだろう。ただ三次~吉舎間しか運転しないのであれば休日運休でも問題なかったとは思うが(なお並行する中国バスは土休日全便運休である)。
なおこの減便により福塩線ではキハ120形が1運用削減する見込みだ。
このほか岡山支社管内では福塩線福山~万能倉間の1往復を減便する。
5. 山陰本線で大減便実施へ
今回の2021年10月2日JR西日本米子支社ダイヤ改正では、山陰本線で大減便を図る。
山陰本線では今回のダイヤ改正で14本を減便するほか、4本で運転区間を削減することとなった。2020年3月14日JR西日本米子支社ダイヤ改正で3運用6両の運用削減を行ったが、さらに大幅に減便を行うこととなったようだ。
今回減便するのは鳥取~出雲市間で概ね2往復で、うち1往復は昼間、残る1往復は終列車である。昼間の減便は他エリアでも行っているし24往復運転を行っているうちの1往復なので影響は小さそうではあるが、鳥取県・島根県では終列車の繰り上げも大きく行っていることから他エリアと比べても大きくダイヤ改正内容が異なっている。
この減便の救済として快速とっとりライナー3本(うち昼間は1往復2本)を普通列車に格下げし各駅に停車することで、通過駅の救済を図ることとなった。
このほか鳥取県内・島根県内では終列車の繰り上げを実施しており、山陰本線浜坂~浜田間、因美線鳥取発智頭行き、伯備線米子発根雨行き、境線などで終列車を20~70分程度繰り上げることとなった。
なお境線では2020年3月14日ダイヤ改正にて平日にて20分程度終列車を繰り上げを行ったため、今回のダイヤ改正で2年連続終列車を繰り上げることとなった。
6. 結び
今回の2021年10月2日JR西日本ダイヤ改正では、岡山支社・広島支社・米子支社管内で普通列車を大幅に減便することとなった。
今後JR西日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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