JR西日本岡山支社は2020年10月1日、プレスリリースにて11月に芸備線で臨時列車を運転すると公表した( 芸備線(新見~備後落合駅間)の増便について )。またJR西日本広島支社は2020年10月7日、プレスリリースにて11月に芸備線で臨時列車を運転すると公表した( 芸備線 広島~備後庄原駅間 快速「庄原ライナー」の運転について )。今回はこれらについて見ていく。
1. 快速列車の延長運転再実施へ
今回の2020年11月~12月JR西日本広島支社臨時列車運転では、11月7日~12月6日の土休日に芸備線で臨時列車の増発を行う。
今回設定するのは快速庄原ライナーで、2019年10月~12月JR西日本芸備線臨時列車運転以来約1年ぶりに運転する。
前年は快速みよしライナー1往復を備後庄原始発に延長して快速庄原ライナーに改称していたが、本年の臨時列車運転では広島発豊後庄原行きは前年同様広島10時05分発快速みよしライナー三次行きを延長し三次→備後庄原間で運転することとなったが、夕方運転の備後庄原発広島行き快速庄原ライナーを運転しないこととなった。
ただ救済として前年備後庄原始発に延長した三次18時12分発快速みよしライナーに接続するように、備後庄原17時21分発普通三次行きを増発することとなった。このため三次~備後庄原間で1往復増発することに変わりない。どうやら前年運転した快速庄原ライナーが三次で20分以上停車していたため、その停車時間があるなら三次までノンストップではなく各駅に停車させることとしたようだ。
2. 輸送密度全国最低区間で再び増発へ
今回の2020年11月JR西日本岡山支社臨時列車運転では、2020年4月~7月JR西日本芸備線臨時列車運転以来約4か月ぶりに芸備線で臨時列車の増発を行う。
今回も11月の毎日、新見~東城間で2往復、東城~備後落合間で1往復の増発を行う。ただプレスリリースに増発前後の利用者数を掲載している時点で、三江線のバス増発による社会実験とやっていることが同じなのである。
ちなみに三江線のバス増発時には利用者は平日は345~450人/日、土休日は192~292人/日となっていた。しかし芸備線では前回の2020年6月の調査において平日は129人/日、土休日は91人/日の利用しかなかった。このご時世で利用が3割減っていたとしても三江線より利用者数が少ないのは言うまでもない。
とはいうものの三江線は100kmを超えていたから利用者数で比較するのは理不尽だろうと考える人もいるだろうから、輸送密度でもみて良く。2019年度の東城~備後落合間の輸送密度は11人/日・往復と前年と比べ3人/日・往復増え2桁に戻ったのだが、2018年に廃止となった三江線と比べてもはるかに少ないのは言うまでもない。また芸備線備中神代~備後落合間で輸送密度を平均すると三江線全線の輸送密度にかなわない。
そう考えると今回の芸備線の増発も備中神代~備後落合間の廃止を前提としているものなのだろう。正直なことろ、芸備線が部分廃止することによって年々削減している東城から庄原・三次経由広島方面の備北交通高速バスの運転本数が維持できればその方がうれしいし、東城~新見間でも備北バスが並走しているので簡単に代走が可能なのである。なおこのあたりの存続云々の詳細は以前の記事に細かく書いたのでそちらも合わせてご覧いただきたい。
ちなみに三江線改良利用促進期成同盟会・三江線活性化協議会の公式サイトは三江線廃止後跡形もなくなくなってしまった。
3. 結び
今回の2020年11月JR西日本岡山支社及び広島支社臨時列車運転では、芸備線で臨時列車を増発することとなった。
しかし支社間で増発に対する認識が大きく異なっており、広島支社ではまだ地域活性化の意図が見受けられるが、岡山支社では廃線を前提に行っているようだ。
今後芸備線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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