運転区間拡大と増発で競合激化へ! 京王電鉄ダイヤ改正及び臨時列車運転(2019年2月22日/2019年3月~5月)

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京王電鉄は2019年1月23日、プレスリリースにて2月22日にダイヤ改正を行うと公表した( 京王線・井の頭線のダイヤ改正を実施します )。また京王電鉄は2019年2月26日、プレスリリースにて3月より土休日に臨時座席指定制列車を運転すると公表した( 高尾山の新緑シーズンにあわせ3月21日(木・祝)から座席指定列車「Mt.TAKAO号」を運行します! )。さらに京王電鉄は2019年3月18日、プレスリリースにて京王よみうりランド停車の京王ライナーを運転すると公表した( 新宿駅から京王よみうりランド駅までノンストップの臨時座席指定列車「京王ライナー」を初めて運行します! )。今回はこれらのうち京王ライナーについて見ていく。

2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

同日実施の京王電鉄ダイヤ改正のうち、平日の料金不要列車についてはこちら!

1. 平日朝の新宿行き設定で特急「あずさ」とも競合へ

今回の2019年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、料金指定制列車「京王ライナー」の増発も実施される。

「京王ライナー」は前回の2018年2月22日ダイヤ改正で初めて設定された座席指定制列車であるが、設定わずか1年で増発を実施することとなった。

西武池袋線「S-TRAIN」も2017年3月25日ダイヤ改正での設定から約1年後の2018年3月10日ダイヤ改正で増発されており、ともに利用が好調のようだ。

しかも今回平日に増発されるのは朝の新宿行き列車となっている。京王線はほぼ全線が複線でありかつ輸送量が多いため、平日朝ラッシュ時となると急行・区間急行・各駅停車のみの運転となり準特急・特急が運転できないほど線路容量が逼迫しているが、朝ピーク時を避けたオフピーク時に増発することによって辛うじて設定できたようだ。

平日朝に増発されるのは京王八王子始発2本と橋本始発2本となる。いずれも朝ラッシュ時を避けたオフピーク時間帯の設定となっている。なおこれらの新宿行き「京王ライナー」はネット予約ができるものの、新宿始発と違い京王八王子~府中間や京王永山~橋本間では降車できない。

設定されるのは朝ピーク前が京王八王子6時05分発「京王ライナー2号」新宿行き、橋本6時20分発「京王ライナー32号」新宿行きの各1本ずつ、朝ピーク後が京王八王子8時31分発「京王ライナー4号」新宿行き、橋本8時49分発「京王ライナー34号」新宿行きの各1本ずつとなっている。




この設定時間についてJR東日本の特急列車と比べながら見ていく。ダイヤ改正日は22日ほどずれているが、朝に関しては運転時刻が変わらないことからJR東日本側の列車名と料金はは2019年3月16日ダイヤ改正後の情報で比較する。

すると、京王八王子6時05分発「京王ライナー2号」新宿行きと八王子6時16分発JR東日本中央本線特急「はちおうじ2号」東京行きとほぼ時間が拮抗している。また京王八王子8時31分発「京王ライナー4号」新宿行きと八王子8時34分発特急「あずさ2号」東京行きも拮抗している。

後者は特に前後合わせて平均15分間隔で特急「あずさ」「かいじ」が設定されており、指定席が空いていれば好きな時間に選べるなど着席利用には利便性の高い時間帯だ。また、中央本線特急「あずさ」「かいじ」「はちおうじ」は「京王ライナー」と比べても八王子・京王八王子→新宿間で5分ほど所要時間が短い。チケットレス特急券でJR東日本の方が250円ほど高くても利用する人が残る可能性は高そうだ。京王は京王八王子が始発のため並べば料金を払わなくても着席できる可能性が高いというアドバンテージを持っているが、そんな中でも新たな需要を開拓するために京王は平日朝にも「京王ライナー」を運転させて需要を奪おうとしたのだろう。

ちなみに橋本始発についても見ていくと、橋本6時20分発「京王ライナー32号」は京王多摩センターを6時29分に出発するが、同じく6時29分には小田急多摩センターより急行が出発する。ただこの急行は平日唯一の新百合ヶ丘行きで、新宿に向かうためには終点新百合ヶ丘で快速急行に乗り換えなければならない。

また橋本8時58分発「京王ライナー34号」はどうやら小田急多摩線からの新百合ヶ丘連絡特急ロマンスカー「モーニングウェイ60号」新宿行き利用を意識したのではないかと思うのだが、そもそも多摩線ロマンスカーは2016年3月26日ダイヤ改正で廃止となっており、需要があまり見込めない。その中で運転することから、需要はやや劣るのではないかと思われる。

このほか時刻とは関係ないが、「京王ライナー」の号数表記がこれまで京王八王子発着も橋本発着も通し番号であったが、今回のダイヤ改正より橋本発着は30番台以降となった。




2. 土休日朝の新宿行きを設定で特急「あずさ」とも競合へ

また今回の2019年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、土休日も「京王ライナー」の増発を実施する。

まずは上り。土休日も朝に設定されるが、平日と設定時間がやや異なる。

京王八王子始発は平日は朝に2本設定されているが、土休日は京王八王子8時44分発「京王ライナー2号」新宿行き1本のみの運転となっている。

一方、相模原線橋本始発は平日と同じ2本が設定され、橋本8時07分発「京王ライナー32号」新宿行きと橋本9時27分発「京王ライナー34号」新宿行きの2本が設定されることとなった。

平日朝の座席指定制列車の運転は東武東上線や京急などでも実施されているが、土休日朝の座席指定制列車の運転は関東大手私鉄では京成本線特急「モーニングライナー」などの特急列車になってしまい、あまり見かけない。

ただ、京王八王子始発に関してはJR東日本が中央本線で特急を多数運転していることから需要はあるはずだし、相模原線からもある程度の需要があると見込んだのだろう。

次に下り。新宿16時20分発「京王ライナー31号」橋本行き、新宿22時00分発「京王ライナー11号」京王八王子行き、新宿22時20分発「京王ライナー43号」橋本行きの3本が増発される。

私鉄の着席保証列車の先駆けとなった東武東上線「TJライナー」の土休日の池袋発車時刻が17時00分〜22時00分発であることを踏まえると、京王八王子行き「京王ライナー」は運転時間帯が完全一致することとなったほか、橋本行き「京王ライナー」についてもその時間帯を最小限に覆う時間帯での設定となった。

このことを考えると、今回の土休日夕方〜夜間の「京王ライナー」の設定時間帯は妥当で、これ以上運転時間帯を拡大するのは難しいのではないだろうか。




3. 高尾山口発着の座席指定制列車設定へ

また2019年3月〜5月京王電鉄臨時列車運転では、高尾山口発着の座席指定制列車が設定される。

高尾山口発の臨時列車は2018年11月臨時列車運転より設定されているが、これまでは新宿発のノンストップ列車についてはセット券の購入が必須、高尾山口発は高尾山口駅での現金専用手売り券のみの販売となっていた。

しかし2019年2月22日ダイヤ改正より新宿行き「京王ライナー」が設定されたことで、今回の2019年3月〜5月臨時列車運転より新宿始発のみならず新宿行き座席指定制列車でもネット予約が可能となった。

運転されるのは2019年3月21日から5月末日までの土休日に3往復で、朝の下りは新宿から高尾山口までノンストップ運転(ただし扉の開閉を伴わない運転停車はあり)を行う「Mt.TAKAO号」が3本(新宿9時00分発、9時40分発、10時20分発)運転される。

また上りは夕方に高尾山口発新宿行き「京王ライナー」が3本(高尾山口15時15分発、15時54分発、16時54分発)運転される。「京王ライナー」の停車駅は新宿及び新宿から20km以上離れた特急停車駅としているため、高尾山口始発の「京王ライナー」も府中まで特急停車駅に停車することになる。高尾線も例外ではないことから、「京王ライナー」が高尾やめじろ台にも停車することとなった。

またこれらの運転に先駆けて、2019年3月10日には新宿10時20分発「Mt.TAKAO85号」高尾山口行き及び高尾山口16時54分発「京王ライナー86号」新宿行きが先行運転されることとなった。

ただ、今回の2019年2月22日ダイヤ改正より前から高尾山口発着の座席指定制列車の運転をほのめかすポスターの掲示はされていたが、定期化には至らなかった。

ただ運転日は6月以降は改めて公表すること、5月末までの土休日は全て運転されることから、今後JR東日本の内房線特急「新宿さざなみ」や外房線特急「新宿わかしお」のように毎土休日運転の臨時列車として定着する可能性がある。

京王電鉄が完全に踏み台にした2018年9月~10月臨時列車運転の京急電鉄「モーニング・ウィング号」の運転は1回こっきりで終わってしまったが、高尾山口発着の「京王ライナー」は定着しつつある。今後需要を見極めて定期化を判断するのだろう。




4. 相模原線でも増発と追加停車へ

また今回の2019年4月京王電鉄臨時列車運転では、史上初めて相模原線に臨時「京王ライナー」が設定される。

この臨時「京王ライナー91号」は、新宿を15時40分に出発し、橋本行きとして運転される。停車駅は「京王ライナー」停車駅の他に京王よみうりランドに追加停車する。

「京王ライナー」は2018年2月22日ダイヤ改正での運転開始に伴い、停車駅を新宿および新宿から20km以上離れた特急停車駅とした。

京王よみうりランドはイベント時には特急・準特急の臨時停車があるが、新宿〜京王よみうりランド間は19.4kmしかなく、「京王ライナー」の停車基準である新宿から20kmより短い。この基準に当てはまらないからこそ調布や京王稲田堤が通過となっているのに、臨時停車とはいえ如何なものか。

というか、ライトアップするために通常より早い時間帯に列車を設定したのだと思われるが、そうならば一部の定期「京王ライナー」も京王よみうりランドに追加停車させないのはなぜだろうか。さすがに新宿22時台発は要らないが、2019年2月22日ダイヤ改正で設定された16時20分発くらい臨時停車させてもいいではないか。


5. 結び

今回の2019年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、「京王ライナー」の運転区間拡大と増発が実施され、利便性が向上することとなった。

今後JR東日本中央本線特急「はちおうじ」「かいじ」「あずさ」などとの競合が激しくなる中、京王電鉄でどのようなダイヤ改正が実施されていくのか、見守ってゆきたい。

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