京成電鉄は2019年9月19日、プレスリリースにて10月26日にダイヤ改正を行うと公表した( 京成線ダイヤ改正を実施します! )。また北総鉄道は2019年9月19日、プレスリリースにて10月26日にダイヤ改正を行うと公表した( 北総線ダイヤ修正を実施します )。さらに芝山鉄道は2019年9月24日、プレスリリースにて10月26日にダイヤ改正を行うと公表した( ダイヤ改正の実施について )。今回はこれらについて見ていく。
1. 特急「スカイライナー」大増発と運転時間帯拡大へ
今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、2018年12月8日ダイヤ改正以来約10か月半ぶりにダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正では、成田空港線特急「スカイライナー」を大幅増発することとなった。
これまで特急「スカイライナー」用AE形は8本あり6運用まで組むことができ、昼間の20分間隔運転はなんとか耐えられたが朝夕の本線特急「モーニングライナー」や特急「イブニングライナー」を運転する時間帯は編成数を確保することができず、やむなく成田空港線特急「スカイライナー」を減らさざるを得なかった。
しかし今回のダイヤ改正で特急「スカイライナー」用AE形を1本増備したことにより、ほぼ終日に渡り特急「スカイライナー」を20分間隔で運転することができるようになった。
また運転時間帯も大幅拡大し、下り(成田空港行き)は上野5時58分発~18時20分発から上野5時40分発~20時20分発にまで大幅に拡大し、最終列車は2時間繰り下がることとなったほか、上り(上野行き)は成田空港7時26分発(土休日は7時29分発)~22時30分発から成田空港7時26分発(土休日は7時29分発)~23時20分発に拡大し、最終列車が50分繰り下がった。
これにより成田空港線特急「スカイライナー」は上下合わせて59本から82本に大幅増発することとなった。
2. 本線特急「モーニングライナー」「イブニングライナー」の運転区間短縮と時刻変更へ
また今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、本線特急「モーニングライナー」「イブニングライナー」でも大きく変更する。
先述の成田空港線特急「スカイライナー」の運転時間拡大に伴い、以前当サイトで予測した通り特急「モーニングライナー」と特急「イブニングライナー」のうち特急「スカイライナー」に抜かされてしまう列車は成田空港発着から成田発着に短縮する。
特急「モーニングライナー」は平日は成田空港8時40分発「モーニングライナー76号」上野行きが成田8時48分発「モーニングライナー208号」上野行きに短縮し、3分時刻が繰り上がる。また土休日は成田空港8時35分発「モーニングライナー76号」上野行きが成田8時38分発「モーニングライナー208号」上野行きに短縮し、10分時刻が繰り上がる。
また特急「イブニングライナー」はこれまで上野18時00分発「イブニングライナー71号」のみが成田行きでそれ以降の列車は成田空港行きの列車として設定していたが、今回のダイヤ改正で成田空港線特急「スカイライナー」の運転時間が下り(成田空港行き)で2時間繰り下がることにより、特急「イブニングライナー」も上野20時発までの3本が成田空港行きから成田行きに短縮することとなった。
これにより上野→成田空港間で本線特急「イブニングライナー」が成田空港線アクセス特急に抜かれることは無くなり、直通列車であれば上野を出発した順に成田空港に到着することとなった。
また成田空港線特急「スカイライナー」の増発により号数変更を実施しることになった。これまで本線特急「モーニングライナー」「イブニングライナー」は70号以降を使用していたが、今回のダイヤ改正より成田空港線特急「スカイライナー」が82号まで使うことになったことから、重複を防ぐため200号以降に大きく繰り下がることとなった。
200号台でなくても100号台を使えば号数の重複を防ぐことができるはずなのだが、あえて200号台を使用したということは、今後成田空港線特急「スカイライナー」のさらなる増発を見込んでいるのか、または押上線経由都営浅草線直通の座席指定制列車の設定かアクセス特急の一部車両を座席指定化する際に100号台を使用しようとしているのではないだろうか。
3. 成田空港運用時間帯拡大で終電繰り下げへ
また今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、終電を増発することになった。
これは成田空港の滑走路のうちA滑走路の運用時間が2019年10月27日より23時までから24時までに延長することに伴い離発着時間が拡大することから、営業時間拡大に合わせ終電後に列車を増発することとなったものである。
今回のダイヤ改正では、平日は上野22時35分発快速成田行きを成田空港行きに延ばし、高砂から成田空港への最終列車を22分繰り下げた。また折返しとして成田空港24時07分発普通宗吾参道行きを増発し、成田空港から成田・宗吾参道への終電を1時間01分繰り下げることとなった。
また土休日は上野22時28分発普通成田行きを上野22時24分発成田空港行きに延長し(ついでに上野発基準で走順を交換した快速成田行きを千住大橋で待ち合わせることとなった)、高砂基準で成田空港への最終列車を40分繰り下げることとなった。また折返しとして成田空港24時10分発普通宗吾参道行きを増発し、成田空港から成田・宗吾参道への終電を1時間04分繰り下げることとなった。
同様の終電繰り下げはJR東日本成田線でも実施するが、成田空港線アクセス特急では実施しないこととなった。2017年10月28日ダイヤ改正での終電繰り下げで十分と判断したようだ。
このほかにも、北総鉄道では成田空港23時00分発最終のアクセス特急からの連絡を東松戸で行っていたが、新鎌ヶ谷に変更することで大町・松飛台への到達時刻が42分繰り上がることとなった。
4. 昼間に快速特急格上げと増発へ
また今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、昼間20分間隔で運転している上野発着のうち半数の40分間隔が快速特急に格上げする。
佐倉以東の通過駅は佐倉で連絡する快速を成田空港発着に延長することで担い、佐倉~成田間では昼間毎時3本から毎時4.5本に増発することとなり、輸送力が50.0%増加することとなった。
…と書くといかにもみんな満足のダイヤ改正に見えるのだが、よく見ると特急から格上げした快速特急は成田空港まで行かず成田止まりで設定し、成田空港へは佐倉で連絡する快速が運転することになる。
快速は西馬込発着なので都営浅草線各駅から成田空港に直通する列車が増えるという点ではいいのかもしれないが、上野から成田空港まで直通で先着する料金不要列車が半減し20分間隔から40分間隔に大きく減らされてしまう。
実のところ快速特急を設定したところで既に所要時間では総武線快速や常磐線快速に対して圧倒的有利なため快速特急の設定自体意味は薄い。それもそのはず。快速特急設定の真の目的は上野と成田空港を直通する料金不要列車を削減することなのだ。実は前回の2018年12月8日ダイヤ改正から平日夕方に実施しており、今回のダイヤ改正で成田空港線特急「スカイライナー」が大幅増発するのに合わせは昼間に拡大した形となった。
ちなみに高砂でアクセス特急と本線快速特急、押上線方面快速特急と本線特急が連絡するので、都営浅草線から成田空港への先着列車は高砂乗継含め毎時3本であることに変わりはない。
ついでに、乗降人員400人/日未満の大佐倉に終日普通または快速が停車することになったので、特急通過駅にしても良かったのではないだろうか。
5. アクセス特急上野発着大幅削減へ
また今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、成田空港線を走るアクセス特急の上野乗り入れを大幅に削減する。
平日は上野5時18分発成田空港線経由アクセス特急成田空港行きが高砂始発に短縮することとなった。おそらく都営浅草線方面から来る品川4時57分発普通高砂行きが高砂でアクセス特急に種別を変更して直通運転するものと思われる。都営浅草線方面から来る列車のうち一部は高砂で快速に種別変更し京成本線へそのまま乗り入れるが、高砂で種別変更し成田空港線に乗り入れる列車は初の設定ではないだろうか。
また上野19時14分発成田空港線経由アクセス特急成田空港行きは上野19時24分発に10分繰り下げ、折返しとして成田空港19時56分発上野行きも成田空港20時05分発に9分繰り下がることとなった。これにより下り(成田空港方面)ではこれまで接続できていた羽田空港17時52分発普通印旛日本医大行きに新鎌ヶ谷で接続できなくなったため、アクセス特急から連絡するためだけに回送で新鎌ヶ谷に送り込み、新鎌ヶ谷19時28分発普通印西牧の原行きを増発する。上野19時24分発アクセス特急成田空港行きは矢切で普通印西牧の原行きを抜かすので新鎌ヶ谷で5分待てば後続の列車が来るのだが、どうしても新鎌ヶ谷始発で連絡させたかったようだ。
土休日もアクセス特急の上野発着の削減を行う。上野5時18分発成田空港線直通アクセス特急成田空港行きの運転区間に変更があるが、平日の高砂始発への短縮と異なり押上5時28分発アクセス特急成田空港行きとして設定する。
また上野20時台発のアクセス特急を快速に格下げ、代わりに押上20時台発の快速2本をアクセス特急に格上げする。高砂以東では変わりなく、高砂以西で交換する形となった。
さらに上野行きアクセス特急6本中成田空港19時台~21時台発の5本が押上線・都営浅草線直通に振り替えられ、3本が西馬込行き、2本が羽田空港行きに振り替えられることとなった。
これにより青砥→上野では代替として佐倉19時35分発快速高砂行きを上野行きに延長することとなったものの、残る4本は救済措置はなくほぼアクセス特急の分だけ減便することとなった。
また佐倉18時34分発快速西馬込行きと佐倉19時14分発快速西馬込行きを佐倉18時35分発快速高砂行きと佐倉19時13分発快速高砂行きに短縮し、終点高砂で成田空港線から来るアクセス特急西馬込行きに連絡することとなった。また高砂21時26分発普通に島越行きを廃止することとなった。これにより押上線内ではアクセス特急の直通拡大により2本増発することとなった。
6. 東成田線と芝山鉄道で減便へ
また今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、東成田線や芝山鉄道線で減便を実施する。
まずは平日から。上野6時28分発快速東成田行きが芝山鉄道線直通通芝山千代田行きに延長する。
芝山千代田9時16分発成田行きが廃止となり、代替として東成田8時09分発快速上野行きを芝山千代田8時02分発に延長することとなった。また成田10時02分発芝山千代田行きが廃止となった。
これにより東成田始発と東成田行きの列車が全廃し、東成田を通る列車は全て芝山千代田発着となった。
また土休日は芝山千代田19時31分発快速上野行きが成田空港始発に変更となることから、芝山千代田19時27分発快速特急上野行きを設定することとなった。また芝山千代田20時12分発快速高砂行きは成田で系統分割を行うこととなった。これにより芝山千代田20時11分発快速成田行きと成田20時23分発快速高砂行きに分割することとなった。
芝山千代田発成田行き快速は各駅に停まるため普通でもいいと思うのだが、終点成田で快速に連絡するため快速としているらしい。
どうせ京成本線で昼間に快特を設定して成田発着列車を設けるくらいだったら、芝山千代田まで延長して40分間隔の普通列車をそのまま置き換えてしまえばよかったのに、その発想はなかったようだ。
7. 本線で小幅な見直しへ
また今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、先述のアクセス特急の減便により上野発着の料金不要列車が削減したほかにも小幅な見直しが行われている。
まずは上野発着速達列車の削減。アクセス特急以外の削減にも上野~青砥間の速達列車を今回のダイヤ改正で削減している。平日は芝山千代田18時49分発快速上野行きが高砂行きに短縮したほか、上野22時14分発快速高砂行きが上野22時10分発普通高砂行きに格下げした。また土休日の上野21時44分発快速高砂行きは上野21時45分発普通高砂行きに格下げすることとなった。
このほか本線上野~高砂間では平日22時台以降の列車の拡充も行われる。先述したように上野19時14分発成田空港線経由アクセス特急成田空港行きは上野19時24分発に10分繰り下げた影響で、上野19時25分発普通佐倉行きを上野19時17分発に繰り上げ、上野19時17分発普通高砂行きを廃止とした。
また上野20時30分発普通高砂行きも廃止となり、上野21時22分発普通高砂行きを新たに設定することとなった。ほか、上野22時47分発普通高砂行きを増発した。
このほかにも本線では時刻変更を行っている。平日は上野8時29分発普通うすい行きは八千代台で特急成田空港行きの待ち合わせを行っていたが、今回のダイヤ改正より昼間同様京成津田沼で待ち合わせを行うこととなった。
また上野10時58分発普通京成津田沼行きが上野11時03分発に繰り下がり、上野10時56分発普通高砂行きを増発する。
また土休日は特急「モーニングライナー」の時刻変更に伴い成田8時36分発特急上野行きが成田8時41分発に繰り下がったほか、上野18時33分発快速特急成田空港行きは上野18時34分発快速特急芝山千代田行きに変更となった。
さらに佐倉20時13分発快速高砂行きが成田空港19時44分発快速高砂行きに延長することとなった。ただ、佐倉で抜かされるのは快速特急ではなく特急であり、果たして抜かす意味があるのか甚だ疑問だし、なにせこの特急は成田空港始発から成田始発に短縮するのである。なぜ快速特急にしなかったのかわからないが、スカイライナー誘導も甚だしいように感じる。
このほか土休日は上野22時18分発普通高砂行きを廃止することとなった。
このほかにも本線では最大4分程度時刻変更を行っている。
さらに押上線でもアクセス特急関連以外で一部変更がある。平日は押上8時22分発普通印旛日本医大行きが押上8時31分発に繰り下がり、代わりに押上8時31分発普通高砂行きが押上8時23分発に繰り上がることとなった。また押上9時03分発普通印旛日本医大行きが押上8時56分発に繰り上がり、押上8時56分発普通青砥行きが押上9時03分発普通高砂行きに繰り下がり、1駅延長することとなった。
また土休日は羽田空港17時21分発快速特急青砥行きは高砂行きに延長することになったほか、押上21時56分発普通青砥行きを普通高砂行きに延長するほか、押上22時20分発普通印西牧の原行きと押上22時39分発普通高砂行きを増発する。
このほか押上線では昼間や平日夕ラッシュ時は本線直通快速の一部佐倉発着から成田空港発着への延長や北総線直通普通列車の印旛日本医大行きと印西牧の原行きの交換などを行っているが、時刻変更はない。
また千葉線では平日朝オフピーク時に上り(津田沼方面)で最大6分時刻変更を行っているほかは時刻変更はなく、金町線では時刻変更を行わなかった。
なお今回の2019年10月26日ダイヤ改正に合わせ、新型車両3100形を2本導入したが、運用数の増加はない。成田空港線アクセス特急用3050形の一部を本線仕様にして3400形または3500形を何らかの形で置き換えるようだ。
8. 結び
今回の2019年10月26日京成電鉄ダイヤ改正では、運用数増加と成田空港の営業時間拡大に伴い特急「スカイライナー」の増発を実施したほか、成田空港発着の終電を繰り下げることとなった。
一方で、昼間は一部の特急の快速特急格上げや成田空港線アクセス特急の上野発着列車が削減したことにより上野から成田空港への料金不要の先着列車が減便したほか、本線特急「モーニングライナー」「イブニングライナー」の運転区間も縮小している。
今後京成電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
コメント
平日は上野5時18分発成田空港線経由アクセス特急成田空港行きが高砂始発に短縮することとなった。おそらく都営浅草線方面から来る品川4時57分発普通高砂行きが高砂でアクセス特急に種別を変更して直通運転するものと思われる。都営浅草線方面から来る列車のうち一部は高砂で快速に種別変更し京成本線へそのまま乗り入れるが、高砂で種別変更し成田空港線に乗り入れる列車は初の設定ではないだろうか。
この記載についてですが、品川発高砂行きは都営車、高砂発成田空港行きアクセス特急は京成車(3100または3050形)なので、種別変更して直通するのではなく、対面乗り換えとなります。ソースは京成時刻表です。