小田急電鉄は2019年4月26日、プレスリリースにて平成31年度事業計画を公表した( 2019年度の鉄道事業設備投資計画 )。今回はこれから2020年3月実施の小田急電鉄ダイヤ改正について予測していく。
1. 各駅停車の10両化拡大へ
今回の2020年3月小田急電鉄ダイヤ改正では、各駅停車の10両化が進む見込みだ。
現在小田急電鉄では3000系8両編成の10両への増結が進んでおり、前回の2019年3月16日ダイヤ改正時点と比べて4本が8両から10両に増結している。
このことから考えると、少なくとも平日朝ラッシュ時に運転している新宿行き各駅停車毎時6本のうち1本のみが10両運転で残る5本が8両編成での運転だったものが、2020年3月ダイヤ改正より毎時6本中3本程度が10両編成化する可能性が高い、いや4本なってもおかしくない。
そうなれば混雑率が157%から155%に減少するのではないだろうか。
ただ、そもそも平日朝ラッシュ時に最も混んでいるのは快速急行であって(今でも2018年3月17日ダイヤ改正での快速急行登戸停車化は失敗だったと思っているのだが)、各駅停車は一番空いていて種別別混雑率では110%程度しかない。混雑が緩和するのは良いが、やるなら速達列車の方が効果的だ。
そう考えると、各駅停車の増結に伴い新宿行きと千代田線方面含め平日朝ラッシュ時に毎時12本も運転している各駅停車を減便して速達種別に振り替えた方が良いのではないだろうか?
ただ、平日夕ラッシュ時に千代田線からの列車を含めた各駅停車及び準急の総数が毎時14本となっていることを考えると、平日朝ラッシュ時の各駅停車を減便するのはやや難しい。せめて平日夕ラッシュ時の減便を図ってからになりそうだ。
そもそも平日夕ラッシュ時の準急は多摩急行の代替として経堂のために運転していると言っても過言ではないので、もし平日夕ラッシュ時に準急を削減するのであれば急行の経堂停車を拡大するほかない。前回の2019年3月16日ダイヤ改正では新宿22時以降発の急行も経堂に停車するようになったが、目的は10分サイクル化と準急を中心とした減便である。そう考えると、今秋のダイヤ改正に向けて一部の各駅停車が8両から10両に増結するとはいえ全便ではないことから、準急を削減し経堂に急行を停車させるほどの余裕があるのかと言われるとちょっと難しいのではないか。
そう考えると、平日の新宿20時台・21時台発の急行が経堂に追加停車して千代田線からの準急を減らす可能性はあるが、新宿18時台・19時台発での急行の経堂停車は今回の2020年3月ダイヤ改正では難しいのではないか。
このほか、小田急電鉄では20120年3月ダイヤ改正までに新型車両5000系を運転開始する見込みであるが、2019年3月ダイヤ改正までに1本しか投入しないことを考えると既存車両の置き換えが行われるとは考えにくい、2020年度にあと5本導入する見込みであることから、8000系の6両+4両を5000系10両固定編成で置き換えていき、運転台が少なくなる分だけ混雑を緩和していくのではないだろうか。
2. 通勤準急の振り替えはあるのか
また今回の2020年3月小田急電鉄ダイヤ改正では、平日朝ラッシュ時に運転している通勤準急に変化はあるのか。
通勤準急は2018年3月17日ダイヤ改正で当時の準急から名称変更して設定した種別だが、平日朝ラッシュ時のみの設定となっている。この通勤準急の設定により、海老名→新百合ヶ丘間では各駅に停車する列車が平日朝ラッシュ時毎時9本から毎時12本に増加した。
2019年11月30日の相鉄JR直通線開業に伴い通勤準急の一部(毎時3本)が小田原線海老名始発から江ノ島線大和始発に振り替える可能性は考えられる。しかし少なくとも急行通過駅の東林間と鶴間にホーム延長の兆しがないので、10両編成のみが運転する通勤準急は設定しても通過するのだろう(もっとも東林間は踏切が近くて、8両までしか伸ばせなさそうだが)。
もし通勤準急が大和始発に振り替えられれば10両編成が停車可能な急行停車駅の南林間に通勤準急が停車するようになるので、平日朝ラッシュ時の急行新宿行きを相模大野から快速急行から大和から快速急行へ変更して、南林間を通過する分所要時間を短縮できればいいのかもしれないが、メリットがうすい。
そう考えると、海老名始発のメリットを無くし海老名出庫の列車をわざわざ回送させる手間までかかる大和始発の区間準急の設定は、1本や2本などごく少数ならあり得るかもしれないがそれ以上は難しいだろう。
そのほか、2020年3月ダイヤ改正での実施は確実にあり得ないことではあるのだが、2019年2月に藤沢駅の大規模改良工事に着手すると公表した。完成時期は決まっていないが、もし完成すれば小田急も橋上駅舎となる。
この小田急線藤沢駅橋上駅舎化により旧地上改札口を撤去しホーム用地にすれば、1番線のみならず2番線~4番線も10両対応にできるスペースを確保することができる。そうなれば、10両編成の快速急行を増発することができ混雑緩和を図ることができる。
そう考えると、10年単位で遠い未来の話になるが、江ノ島線の輸送改善が図られる日も近そうだ。
3. 通勤急行の増発はあるのか
また今回の2020年3月小田急電鉄ダイヤ改正では、多摩線始発の通勤急行の増発も考えられる。
これは2019年3月小田急電鉄ダイヤ改正予測でも言っていたのだが、当時は唯一残っていた8両編成の通勤急行を10両化するだけで増発はなかった。
結局入場制限までかけていた快速急行はその後も混んだままであることから、3000系の中間車増結により10両編成が増え運用に柔軟性が持てるようになった今、通勤急行を1本増発して10分間隔で運転する時間帯を30分拡大できるようになるのかもしれない。
4. 結び
今回の2020年3月小田急電鉄ダイヤ改正では、8両編成の10両化に伴い各駅停車を中心に輸送力増加が図られるほか、これに合わせて急行や通勤急行を増発する可能性がある。
一方、平日夕ラッシュ時には急行の経堂停車拡大に伴う準急削減を図る可能性がある。
今後小田急電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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