恐れていた!最終列車の繰り上げ宣言! 山陽新幹線ダイヤ改正(2020年3月14日)

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JR西日本は2019年12月13日、プレスリリースにて2020年3月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月ダイヤ改正について )。今回はJR東海が公表している新幹線時刻表を用いてこのうち山陽新幹線「のぞみ」について見ていく。

同日実施のダイヤ改正のうち東海道新幹線「のぞみ」についてはこちら!

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 700系16両編成引退で所要時間短縮へ!

今回の2020年3月14日山陽新幹線ダイヤ改正では、東海道新幹線と直通する列車から700系が引退しN700系に統一する。

これにより東海道新幹線で白紙ダイヤ改正を実施することから、山陽新幹線でも大幅に運転時刻を変更する。

山陽新幹線では500系やN700系が300km/h運転を行うことができるにもかかわらず700系は最高速度が285km/hまでしか出せないことから、臨時「のぞみ」では遅い700系に合わせてダイヤを組まざるを得なかった。しかし今回のダイヤ改正では臨時含め全ての「のぞみ」がN700系での運転となることから、臨時「のぞみ」でも所要時間短縮を図っている。

臨時「のぞみ」は700系運用可能時代は山陽新幹線内新大阪~博多間を2時間34分~2時間37分運転であるが、ダイヤ改正後は概ね2時間33分運転となるほか東京毎時42分発に限っては2時間35分運転のまま変わりない。

これは東京毎時12分発及び毎時33分着僅少「のぞみ」は直前・直後を走る東京毎時09分発及び毎時36分着定期「のぞみ」が福山に停車するため岡山~広島間でノンストップ運転にもかかわらず福山に停車する分だけ遅く運転しなければならないこと、またこの臨時「のぞみ」自体が徳山または新山口に停車するため、結果として博多発着時点で定期「のぞみ」の続行として運転できないことがある。ただこれに関しては2021年3月ダイヤ改正でN700Sが毎時1本の定期「のぞみ」で運転し東海道新幹線内で300km/h運転を行い東京~新大阪間を2時間24分運転できるようになれば続行の臨時「のぞみ」も所要時間短縮を図れるので、改称される見込みは十分にある。

問題は東京毎時42分発及び毎時03分着多頻度「のぞみ」で、定期「さくら」がいるために所要時間短縮ができないのである。「さくら」は昼間は山陽・九州新幹線直通列車で最速列車として運転しているため

700系を運用し得る時でさえ2時間37分運転だったのに、N700系に統一しても2時間35分運転しかできないようでは新車置き換えの意味は何だんたんだろうか。




また今回のダイヤ改正では山陽新幹線内でも臨時「のぞみ」の増発を行う。これまで山陽新幹線内の「のぞみ」は定期・臨時合わせて最大毎時5本までしか設定できなかったが、今回のダイヤ改正より一部の時間帯で最大毎時6本を運転できるようになる。なお定期「のぞみ」は原則毎時3本のまま変わらず、臨時から定期列車への昇格もない。

山陽新幹線で臨時「のぞみ」として設定するのは東京毎時21分発の多頻度「のぞみ」及び24分着の東海道新幹線内定期「のぞみ」で、山陽新幹線内新大阪~博多間を2時間29分で走破する。定期「のぞみ」が東京行き最終を除き原則2時間28分運転を実施していることを考えると、臨時列車を含む全ての「のぞみ」がN700系での運転になり300km/h運転をできるようになることを考えると、ある意味当然の結果と言えそうだ。

山陽新幹線では過去に毎時5本の臨時「のぞみ」では足りなかったことから、700系8両編成「ひかりレールスター」を増発してまで輸送力を補おうとしていた。そう考えると「のぞみ」の最大毎時6本化で混雑緩和が期待できそうだ。

このほかパターンダイヤ規格外で博多6時44分発臨時「のぞみ132号」東京行きを増発することとなった。




2. 所要時間短縮で初電繰り上げへ!

今回の2020年3月14日山陽新幹線ダイヤ改正では、プレスリリースに記載はないが初列車の繰り上げを行う。

なぜこんな重要な初列車の繰り上げと所要時間短縮に伴う東京着時刻の繰り上げを2019年12月13日のプレスリリースに書けなかったのか。理由はただ1つ。プレスリリース掲載時点で決まっていなかったためである。

岡山6時01分発「のぞみ84号」東京行きの東海道新幹線内のダイヤはパターンダイヤ規格での運転ではない。なんと名古屋6時46分発「こだま700号」のパターンダイヤを崩してまで無理やり設定させた列車なのだ

もしパターンダイヤ規格のまま運転していたら、東京着時刻は9時23分から9時24分に1分繰り下がり、岡山発時刻も6時00分から6時07分に7分も繰り下がっていたところであった。確かに2012年3月17日ダイヤ改正まで岡山発の一番列車は岡山6時08分発「のぞみ104号」東京行きだったので不思議なことではないのだが、それでもJR東海は頑なに東海道新幹線のパターンダイヤを守っていたためにほかならない。しかし今回のダイヤ改正で「こだま」を潰して「のぞみ」を潰してまで東海道新幹線のパターンダイヤ規格を無視して導入したのはJR西日本のよほどの熱意があったからにほかならない




また姫路6時00分発「のぞみ82号」東京行きも相当する東京着の東海道新幹線のパターンダイヤ規格がない。ただ新大阪発時点では東京毎時03分着のダイヤを組んでいるため、早朝の東海道新幹線に空きがあったためJR東海の粋な計らいで所要時間を短縮した感が強い。こちらも無理やり運転時刻を作り東京9時03分着から東京9時ちょうど着に3分繰り上げた。

なお西明石6時01分発「のぞみ80号」東京行きは、東京到着のパターンダイヤ規格はあるのでついでに所要時間を短縮したという感じなのだろう。これにより西明石・新神戸の2駅では初列車が1分遅くなったが、東京到着が8時53分から8時51分に2分短縮している。別に西明石や神戸から大阪に行くならJR神戸線もあるので1分くらい繰り下がったって影響はないし、駅の営業時間を短縮し東京時刻も繰り上げたことで経営合理化と利便性向上の両方を図っている。完全にJR東海のおかげなのだが、JR西日本も恩恵を受けているようだ。

ちなみに広島から東京への一番列車は広島6時03分発定期「のぞみ88号」東京行きのまま1分たりとも変わっていない。新大阪を3分前に出発する新大阪7時30分発僅少「のぞみ284号」東京行きにつなげれば新大阪→東京間を従来より3分早い2時間27分運転を行うので東京到着時刻を10時03分から9時57分に6分繰り上げ夢の広島からの10時までに東京着を実現できるところだったが、次回以降にお預けのようだ。航空機との競合が激しい区間なのだが、及び腰でいいのだろうか…

ただ1つ初列車が繰り下がったのは、博多6時10分発「のぞみ2号」東京行きが博多6時15分発に5分も繰り下がったこと。しかも東海道新幹線内で所要時間を短縮したとはいえこの遅れは取り戻せず、東京着時刻が11時13分から11時15分に2分繰り下がっている。いやいや福岡~大阪間だけでも初列車が5分も繰り下がっているのに、山口~東京間でも到着時刻を繰り下げる非道っぷりで、かつ博多6時00分発「ひかり440号」岡山行きを引き続き運転することからJR西日本の駅営業時間の短縮にもつながっていない。今回のダイヤ改正で広島7時12分発臨時「のぞみ130号」東京行きを増発しているが、それにつながるように定期列車として博多6時05分発で「のぞみ2号」を設定し東京に11時06分に着こうという発想はなかったのだろうか。




3. 8年ぶりの終列車繰り上げへ

また今回の2020年3月14日山陽新幹線ダイヤ改正では、2012年3月17日ダイヤ改正以来8年ぶりに終電繰り下げの悲劇が起こる。

姫路行き最終は東京20時50分発「のぞみ135号」姫路行きから東京20時51分発「のぞみ115号」姫路行きに1分繰り下がった。名古屋発時刻は22時33分発のまま変わりない。新大阪発時刻は23時25分から23時23分に2分繰り上がるが、新大阪・大阪から姫路に行くなら新快速に乗ればいいので、新幹線の姫路行き最終列車が山陽新幹線内で繰り上がったところで影響はない。むしろ所要時間を短縮したという点では完全に改善しているし、JR西日本も新幹線の営業時間を短縮することで経費削減につなげることができる。

問題は次から。岡山行き最終は東京20時30分発「のぞみ133号」改め「のぞみ113号」岡山行きであるが、所要時間を短縮したために東京発時刻が変わらないにもかかわらず名古屋22時13分発から22時10分発に、新大阪23時06分発から23時02分発にそれぞれ繰り上がってしまった。名古屋や大阪から岡山に行く人はいるし、岡山到着も23時55分着から23時51分着に4分繰り上がったけど接続列車は変わりないし、ただただ終列車を繰り上げられた感が否めない。なお高松への最終も同列車であるが、快速マリンライナー77号高松行き最終列車は岡山24時12分発のまま変わりないので、岡山駅での滞在時間が4分延びただけである。東京からの終列車が変わらないのにただただ途中駅からの終列車が繰り上がっており、サービスが低下しているとしか思えない。

次に広島行き最終。東京19時50分発「のぞみ129号」広島行きから東京19時51分発「のぞみ109号」広島行きに変更したが、姫路行き最終同様所要時間短縮を図ったことで名古屋発時刻は同一なものの新大阪発時刻を22時26分発から22時23分発に3分繰り上げた。

岡山と違い東京発時刻を1分繰り下げてはいるので改善点もあるのだが、それにしても新大阪からの終列車の繰り上げは利便性の低下を招いていると言わざるを得ない。




最後に最も問題な博多行き最終。広島行き最終同様所要時間短縮を図ったことで名古屋発時刻は同一なものの新大阪発時刻を21時26分発から21時23分発に3分繰り上げついに新大阪からの東京行き最終より先に終列車が出ることとなった

しかも東京~博多間を乗り通す人なんて少なく、航空に対する新幹線利用比率は9.2%しかない。しかし新大阪~博多は航空機との競合区間で新幹線利用比率は87.0%にも及ぶ。いつも思うけど優先順位どっちが高いんだよ。東海道新幹線の所要時間短縮で山陽新幹線の終電繰り上げすぎなんだよ。というか、「のぞみ」が山陽新幹線で運転開始した1993年3月18日ダイヤ改正では東京18時56分発が博多行き最終だったのに、N700系統一して所要時間が短縮しても東京から博多への最終は300系新幹線しかなかった27年前に負けているじゃないか。せめて東海道新幹線のパターンダイヤ規格である東京18時54分発で設定することはできなかったのだろうか。

これらの終列車繰り上げに伴う利便性低下の中、実はJR四国は岡山22時00分発「しおかぜ29号」最終松山行きに連絡する「のぞみ」が東京18時10分発から18時30分発に20分繰り下がるのでほくそ笑んでいるのだが、それ以外は東海道新幹線の所要時間短縮により関西~山陰・四国・福岡を除く九州がどんどん遠くなっていっている。

この終列車繰り上げは2012年3月17日ダイヤ改正時の東海道新幹線内での所要時間短縮に伴い東海道新幹線だけが所要時間を短縮して以来であり、西日本への恩恵は少なくむしろデメリットだと思うのは気のせいだろうか。


4. 結び

今回の2020年3月14日山陽新幹線ダイヤ改正では、臨時列車を含め全ての「のぞみ」が300km/h対応のN700系による運転となることから、臨時「のぞみ」で所要時間の短縮を図る。

また臨時「のぞみ」の増発により、最大で毎時6本の「のぞみ」を設定可能になり多客期の輸送をより賄えるようになる。

今後山陽新幹線でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。

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