JR東海は2020年12月18日、プレスリリースにて2021年3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年3月ダイヤ改正について )。またJR西日本は2020年12月18日、プレスリリースにて2021年3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年3月ダイヤ改正について )。今回はこれから東海道・山陽の各新幹線の2021年3月13日ダイヤ改正について見ていく。
2021年3月ダイヤ改正で消える列車愛称・車両形式まとめはこちら!
1. 「のぞみ」一部で所要時間短縮へ
今回の2021年3月13日東海道新幹線ダイヤ改正では、ごく一部の「のぞみ」で所要時間短縮を行う。
今回所要時間を短縮するのは下り列車は東京20時30分発「のぞみ113号」岡山行き最終、東京20時51分発「のぞみ115号」姫路行き最終、東京21時00分発「のぞみ261号」新大阪行きの3本で、ともに東京発時刻を3分繰り下げ東京→新大阪間2時間30分運転から2時間27分運転に3分短縮する。このほか臨時列車のためプレスリリースの記載をしなかったのだろうが、東京20時54分発臨時「のぞみ469号」新大阪行きも東京20時57分発に3分繰り下げる見込みだ。これにより東京から新神戸~岡山への「のぞみ」の最終が3分繰り下がることとなった。
なおこの「のぞみ」の時刻変更に伴い、日曜運転の東京20時33分発「ひかり665号」新大阪行きは東京20時30分発に3分繰り上げ静岡での「のぞみ」待避本数を1本増やすほか、東京20時57分発「こだま807号」三島行きを東京20時51分発に繰り上げ小田原での「のぞみ」待避本数を1本から2本に増やす。
東海道新幹線ではダイヤ改正を行っても原則東京発着時刻を変えず、新大阪側で時刻変更を行い速達化を図ることが多いが、今回のダイヤ改正では東京発着時刻の変更により所要時間短縮を図った。
また今回の「のぞみ」速達化は下り3本が全て新大阪23時以降到着の列車であることを考えると、今回のダイヤ改正でJR西日本の大阪都市圏各線終電繰り上げに伴い利用できる新幹線の最終が繰り上がる地域も多いことから、東京発の時刻を繰り下げることで繰り上げ幅を少しでも抑えようとしているのだろう。つまり岡山(瀬戸大橋線快速マリンライナー連絡高松含む)や姫路への最終が繰り下がるのは大阪都市圏への終電繰り上げ幅を最小限に抑えるための副次的効果の可能性が高そうだ。
ただ本来であれば今回のダイヤ改正でN700Sの性能を活かし最高速度引き上げ・所要時間短縮を行えたはずだ。もし東京~博多間の定期「のぞみ」毎時1本をN700S化固定運用化すると新車のN700Sばかりが1編成当たりの年間走行距離が大きく伸び、既存のN700系に定期運用が減ることから台車の摩耗が減る。もっとも2019年までの頻度で臨時列車を運転できればN700系もかなり走りこむことができたが、2020年に入り臨時列車の設定が大幅に縮小した中順次廃車が決まっているN700系に定期運用を持たせることで走りこませ、新車のN700Sをあまり走らせないことで寿命を1年でも延ばすべくN700S専用ダイヤの設定を見送ることとしたのだろう。
このほか広島17時06分発定期「のぞみ118号」東京行きは東京21時03分着から21時00分着に3分繰り上げる。
2. 朝の東京行き「のぞみ」定期列車の配置換えで初列車繰り上げへ
今回の2021年3月13日東海道新幹線ダイヤ改正では、「のぞみ」の定期列車と臨時列車の入れ替えにより所要時間の短縮を図る。
まずは朝の東京行き上り列車。そもそも2012年3月17日ダイヤ改正より朝11時までに東京に到着する「のぞみ」はパターンダイヤを崩しており、山陽新幹線からの直通列車はパターンダイヤ時間帯と比べ概ね10分程度前にずれているほか、定期列車と臨時列車の配置もパターンダイヤ時間帯と変えている。今回のダイヤ改正ではさらに変更することにより、初列車の繰り上げも含めた所要時間短縮を行っている。
まずは広島6時03分発「のぞみ88号」東京行き初列車。2020年現在は東京10時03分着となっているが、山陽新幹線内広島→新大阪間で3分繰り上げ新大阪からは7時30分発旧臨時「のぞみ284号」東京行きの時刻で運転することにより、広島からの一番列車で東京に9時57分に到着できるようになる。これにより新大阪→東京間の旧「のぞみ88号」の時刻で新たに新大阪7時33分発新臨時「のぞみ284号」東京行きを設定する見込みだ。
また広島7時05分発「のぞみ94号」東京行きも山陽新幹線内広島→新大阪間で3分繰り上げ、新大阪からは8時30分発旧臨時「のぞみ296号」東京行きの時刻で運転することにより、東京に10時57分に到着できるようになる。これにより新大阪→東京間の旧「のぞみ94号」の時刻で新たに新大阪8時33分発新臨時「のぞみ296号」東京行きを設定する見込みだ。
このほか新大阪7時09分発定期「のぞみ208号」東京行きと岡山6時25分発定期「のぞみ86号」東京行きを入れ替え、岡山6時18分発「のぞみ86号」東京行きと新大阪7時15分発「のぞみ208号」東京行きに再編する。
ただこのほかはただ2時間30分運転の定期「のぞみ」と2時間27分運転の臨時「のぞみ」を入れ替えて定期列車の所要時間を短縮しているだけで、根本的な時刻変更は行っていない。まあ2019年までの運転頻度で臨時列車を設定できれば週5日程度は終日毎時6本の「のぞみ」を運転しており2時間27分運転の列車も自然と多く設定できたのだが、2020年からの旅客の急激な落ち込みにより臨時列車の設定自体がままならなくなったことから、定期列車で2時間27分運転を行う列車を増やすことで経費節減を図ろうとしているのだろう。
この帳尻合わせにより東京~新大阪間を運転する定期「のぞみ」158本のうちちょうど半分の79本が2時間27分以内で運転することとなった。
このほか今回のダイヤ改正では山陽新幹線直通「のぞみ」の運転枠を定期・臨時合わせて昼間も毎時5本から毎時6本に増加することとなった。ただ今回枠が増える11枠中博多発着は4枠しかないことを考えると、多くは東京~広島間での枠設定となりそうだ。
3. 山陽新幹線で「こだま」を減便へ
今回の2021年3月13日山陽新幹線ダイヤ改正では、「こだま」の減便を行う。
今回のダイヤ改正で全日に渡り減便するのは岡山~広島間の1往復で、岡山20時16分発「こだま869号」広島行きを廃止するほか、博多18時31分発「こだま870号」岡山行きを広島行きに短縮する。
このほか山陽新幹線では平日は全て運転で土休日運休の列車は2020年現在小倉~博多間の「こだま」1往復のみとなっているが、今回のダイヤ改正で岡山~博多間に拡大し2本から8本に増やす。ただ今回の土休日運休化する「こだま」は小倉~博多間の夜間1往復を除き朝のみとなり、多くは20分程度前後には「ひかり」「こだま」が来るものばかりだ。
なお岡山6時57分発「こだま835号」広島行きの土休日運休化の救済として、新大阪6時06分発「ひかり591号」博多行きが東広島に増停車するようになる。
これらの「こだま」の減便や土休日運休化により、運用本数は減らないものの列車走行キロが減る。これにより500系新幹線の寿命を少しでも延ばしたいようだ。
ただ小倉6時21分発「こだま770号」新山口行きを土休日運休化するくらいだったら、列車設定自体止めてしまって博多6時18分発「ひかり592号」レールスター新大阪行きを厚狭に停めて救済すればいいのにと思うのだが。ついでに広島6時43分発「さくら405号」鹿児島中央行きも厚狭に停めてしまえば今回のダイヤ改正で土休日運休化した新山口7時03分発「こだま777号」博多行きを廃止することができ、土休日だけでなく平日も1運用浮かすことができる見込みなのだが。
なお今回のダイヤ改正では定期「みずほ」「さくら」「ひかり」の減便は行わなかった。
(2021/1/22追記) なお山陽新幹線「こだま」の土休日運休化及び一部減便は2021年2月1日から先行実施することとなった。
4. 結び
今回の2021年3月13日東海道・山陽新幹線ダイヤ改正では、ごく一部の「のぞみ」の所要時間短縮や定期列車と臨時列車を入れ替えることにより初列車の繰り上げや終列車の繰り下げを行ったほか、山陽直通臨時「のぞみ」の運転枠を増やした。
一方で山陽新幹線内で「こだま」の減便を行うなど、合理化を図っている。
今後東海道・山陽新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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